母の危ない癖

母方の祖父母は誰彼なしに「ハル敬語」をつかう人たちだった。
子供に対してでも
「ヒロミちゃんはあそこにいてはるよ」
と言うし、犬にでも
「あらまあ、シロが変なもん食べはったわ」
という具合。
上品といえば上品なんだろうけど、なんか違う。
夕食のエビフライを落っことしたとき、祖母が残念そうに
「エビフライが逃げていかはったわ・・・」
と言うものだから、エビフライにまで使うかー、と子供心に突っ込んだことを覚えている。

そんな祖父母の子である母は、さらに上をゆく。
敬語だけでは飽き足らず、すべてを生き物として扱うのである。
擬人化癖である。

ぬいぐるみは、まだわかる。
孫にもらった犬のぬいぐるみを抱えて
「クロちゃんが『ぼくもお出かけしたい』って言ってるよー」
などと言うのは、まあ、可愛い。

車椅子がきしんだ音をたてると
「『もう働きたくない』って言ってるのかな？ 車椅子も頑張ってるんだから、なにかご褒美をあげなくちゃねえ」
と言い出す。
・・・車椅子が何かもらって喜ぶか？
「喜ぶよ！ねえ、車椅子さん」
やばい。
無生物と会話しだしたぞ。

それだけじゃない。
トイレがうまくいかないと、
「もう！どうしてちゃんと出てくれないのよ！」
母は怒りだした。
誰に怒ったって、お尻にである。
自分のお尻と、あと、おしっこに。
「ちゃんとトイレでできないんなら、パチン！ってするからね！」
えーと、それはどういう脅しなの？
お尻を叩いたら自分が痛いだけだぞ？
「だって叩かれたら、おしっこも『ちゃんとしなくちゃ』って思うでしょ！」
もはや意味がわからない。
どう見ても危ない人である。
擬人化は昔からの癖なんだけど、近年は高次脳と相まって、ちょっと怖い。

手作りマスクをいただきましたー！
ありがとうーーー！
可愛くて大きくてつけ心地いいの！
いっぱいもらったから、１枚はオヤジの顔に縛りつけておきます！

本日の猫写真。

今日も今日とて猫に邪魔されています。在宅ワークの人って大変だろうなー！