退院に際し、病院からの報告では
「柔らかいものしか食べられない」
「ほぼ歩けない」
「活力、気力の低下がみられる」
と言われていたオヤジ。
退院してからの3日間で・・・大方の予想どおり、めちゃくちゃ元気になっていった。
だって、家には孫たちがいるんだもんね。
猫たちだっているんだもん。
ぐったりなんかしていられない!
体力気力ともに活発になり、表情も溌剌としている。
知らない人からみれば
「元気になってよかったね!」
というところ。
だが、介護経験者ならわかっていただけるだろう。
元気いっぱいの要介護2はタチが悪い。
頑張ったら立つことができるレベルだ。
「座ってて」
といっても後ろむいた瞬間に立ち上がる。
そして歩きだしたら2歩めで転ぶ。
転んだら自力では起き上がれない。
トイレの使い方もよくわかっていない。
パンツを脱げるけど、履けない。
異食こそしないけど、人のものでも古いものでも、目についたらなんでも食べちゃう。
退院してから3日間は妹たちがいた。
4人で見張る見守ることができた。
逆にいえば4人がかりでなんとか、というレベルだった。
それが私一人になったわけだ。
どうしても目が届かない。
ぜんぜん届かない。
活性化したオヤジは、勝手に立ち歩きはじめ、転倒するようになった。
母のトイレ介助をしているあいだに転ぶ。
夕食を用意している間に転ぶ。
冷蔵庫を漁ろうとして転ぶ。
センサーマットはピーピー鳴りっぱなし!
こうなると
「わー、ダメダヨお父さん」
なんて優しく言ってる場合じゃない。
「待って!」
「立たないで!」
「立つな!」
「アカンて!」
「ゴルァ!おとなしく座ってろクソオヤジ!」
「そこでオシッコすな!ちょんぎるぞ!」
立ちションが始まり、下半身ぜんぶ脱いで、そこらじゅうをびしょびしょにして寝るようになったときは、猫のシシィが起こしにきてくれた。
「お父さんがえらいことになってるニャー」
朝の4時だった。
私は
「これはダメだぁ」
と思った。
話が違う、と思った。
違いすぎる!
お医者さんからは
「自分でトイレに行けるようにはならないでしょう」
と言われていたのに。
だから在宅でも大丈夫かなって思ったのに。
これじゃあ以前と同じじゃない!
オヤジの入院前は、朝起きるたび、そして帰宅するたびに黄色い池が広がっていたものだ。
洗濯しても洗濯してもきりがなかった。
毎日のように転倒して、起こすのがわりと大変だった。
あの頃はもうそれが普通になってしまっていたけれど。
今考えたら、ぜんぜん普通じゃない!
この先、毎日毎日、いうことをきかないで転倒するオヤジを抱えおこし、黄色い池の跡片付けばかりして人生を送るのか?
オヤジの場合、認知面はわりとしっかりしている。
立ったまま排尿してトイレ回りを汚すのは意識的である。
わざとやる「悪さ」は精神的にくるものがある。
いつか殴りつけてしまいかねない。
そう考えたら
「あ、無理」
ってなった。
ケアマネさんに泣きついたら、とりあえずショートを増やしてくれた。
「要介護3になったら特養も申し込めますけど・・・」
残念ながら要介護2しか出ない。
私のおひとり様ダブル介護は、こうして振り出しにもどった。
コメント
いつも楽しく興味深く読ませて頂いてます。
…そんな事より大変ですね。
もうそれしか言い様がないです。
しかし高齢男性のシモは、あかん人は徹底的にダメですねえ。お父さまは残念ながらあかん人。わざと、と、言うことは高次脳機能障害的な部分もあるのでしょうか。
もうチャレンジされた、又はあっさり脱いでしまわれる可能性も高いですが、いわゆる介護服、つなぎ服はいかがですか?少しはマシになるかも…
返信遅くなってすみません。
要介護2しか出なかったんですよねー。
病院で認定調査受けたのにーってケアマネさんが悔しがっていました。
おっしゃるとおり、うちのオヤジはあかん人ですw
最近ちょっと覚醒して意識できるようにはなったのですが。。。
つなぎ、着替えるときに面倒くさそうなイメージですが、どうなんでしょう。
あと、ここまで悲惨な(すいません)状態だったら、要介護度は3が取れると思います。
お久しぶりに再開されて良かったです、どうされているかなと気になっていました。
私はもう母だけの介護になりましたので、楽かと思いきや、父が話し相手になっていた母、、
その矛先が私になり、うざい!の一言。何から何まで私に頼むことにはなりますので。
あーこれなら父が居てくれたほうが楽だったかなーとは思いましが、居たら居たで面倒はかかるし、、。何が良いのかわからないですね。
今はもう長生きとかではなく どうしたら苦しむことなく幸せに死んでくれるか、これだけです。
だださんのお父様、、きっと幸せです、間違いなく幸せです。
お疲れ様です。
うざいのわかります…。
私もたまに「きーっ!」となりますw
長寿がめでたかったのは昔の話ですね。