夫婦43年目の共同作業

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今日は私のバイトが夕方まである日だった。母は家でオヤジと留守番だ。家にいるだけとはいえ、こんなにも長時間、2人だけで過ごすのは初めてなのでちょっと不安だった。

「かあさんと2人で家におっても、何したらいいか分からへん」
とオヤジが心細がるので、
「じゃあ夕飯にカレーライス作っといて」
と頼んでおいた。オヤジは料理なんてぜんぜんできないが、手先は器用だし、母があれこれ指図して教えるだろう。鍋と材料を用意して私は出かけた。

カレー、できたかな。
無事かな。
おかあさん、ちゃんと教えられたかな。
楽しみなような怖いような気持ちで、ドキドキしながら家に帰ると…。

「あ、あのっ、今から作るところやから!」
オヤジは私の姿を見て慌てふためいていた。
「あのっ、鍋はどこや?」
・・・目の前だ。
「や、や、野菜は!?」
・・・目の前だ。
「カレー粉は?」
・・・ぜんぶ目の前だ!
おかあさん、今まで何してたの!?
ぼーっとしてた
あかんやん!!!

どうやら両親は、一番やってはいけないパターン
「一日中ぼーっとテレビを見て過ごす」
をやらかしていたようである。ダメダメである。

「私はちょっと休憩してくるから、2人で頑張ってカレー作ってな!」
言い残して部屋に戻った。しばらくするとギャーギャー騒ぐ両親の声と怪しい匂いが部屋まで漂ってきた。だいぶ不安にかられたが、久しぶりの夫婦共同作業だし、今後の練習でもあるので様子をみにいくのは我慢した。

数十分後。台所へ下りていくと、オヤジはカレー色の鍋をかきまぜていた。もうできたの? それにしてもカレーの匂いがしないんだけど…。
「いや、カレー粉はまだ入れてない」
えっ!?
というと、この黒色は・・・焦げた野菜の色だ。オヤジは、こんがりフレーバーなカレーを製作していたのだ。あまりに真っ黒なんでちょっと引いた。

とはいえカレーだから、消し炭みたいになったタマネギを取り除けばまあまあ誤魔化せた。母と2人で美味しいおいしいと言って食べたらオヤジは自信満々で
「こんどはシチューを作ろう」
と言っていた。ホワイトシチューならお焦げは誤魔化せないよなあ。どうしよう。

本日の猫写真。

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シシィに追い込まれて電話代に避難したサンジ君。

コメント

  1. おいしい、おいしいのニ重唱。
    褒め育て、というところでしょうか(笑)
    やがて来るはずのシチューの日、あな怖ろ楽しみですね。

    なんちゅう女子や、あれは…
    サンちゃ~ん、きみはそう言っているように見えるよ。
    かんにんな~。

    • オヤジもおだてると木に登ってくれますね!一瞬ですが。
      冬場はあったかいシチューが美味しいですから時々は頑張ってもらいたいです。

      シシィは本当に台風みたいな女子ですが、サンジは体調さえよければ逃げずに遊んであげています。
      ときどき頭を踏まれて「ぎゃん!」とか悲鳴あげてますが…

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