筆談の落とし穴

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耳の遠い高齢者は多い。
たいていは耳元でゆっくり叫べばわかってもらえるが、なかなか通じない時もある。
ある時こんな場面をみた。

ケアマネ「今日は、排便はありましたか?」
利用者 「え? 今日はなにって?」
ケアマネ「排便! 排泄! 大きいほう
利用者 「え?」
ケアマネ「便!便!
利用者 「え?」
ケアマネ「うんこ!う・ん・こーー!
利用者 「え?」

息を切らせつつウンコを連呼するケアマネさん。本人は必死かつ真面目に仕事してるだけなのだが傍目にはコントである。
そのあと私が
「お通じはありましたか?」
と普通に尋ねると
「ああ、ありました」
サラッと返ってきたりするから、よくわからない。

「もうゴハン食べたでしょ!」って言われてジト目になるシシィさん

どんなに大声で怒鳴っても聞こえない時は聞こえない。とくに、少し込み入った話は通じにくい。
「明日の!朝は!冷え込みそうです! ぶ厚い!布団を!出しても!いいですか!」
と大声で尋ねても全然わかってもらえなかった。
ただ、今日の利用者さんは文字が読めた。認知症も軽い。筆談ができるのだ。
かねてより上司からも
「この方は筆談のほうが話が速いですよ」
と言われていた。他のヘルパーはホワイトボードで会話しているそうだ。

だが私は筆談が苦手である。ちょっとではなく、かなり苦手である。
なるべく避けたいが、今日は他に手の打ちようがなかった。

それで仕方なく書いた。
メモ用紙とサインペンで。
文字で私の言葉を伝えた。

『明日の朝は寒くなります。
毛布を出してもいいですか?』

文字は心だ。
文章は声だ。
さあ、私の言葉を受け取ってください!

「あ・・明日の・・・朝・・・は・・・?
えーと、これ何て書いてあるの?」

なんということか!
私の言葉は受け取ってもらえなかった!

字が下手すぎて伝わらない!!!!

やっぱりかーーー!
私、筆談は苦手だー!
・・・次回はタブレット持っていこうかな。

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