酷い介護

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世の中にはさまざまな人がいて、さまざまな家族があって、さまざまな人間関係を築き、さまざまな暮らしを送っている。介護のあり方も本当にいろいろだ。他人はいつもなんにも知らないで
「あそこの家族はぜんぜん面倒みてない」
「おばあちゃん、ないがしろにされて可哀想」
とか勝手に言う。

でも、家族には家族の事情があるのだ。過去があって今がある。高齢者が家族に優しくしてもらえないので気の毒がっていたら、実はえげつないほどの嫁いびりをする人だった、とか、博打が原因の借金地獄で家族を苦しめぬいた人だった、なんてよくある話。血の繋がりのないお嫁さんなんかとくに気の毒で
「さんざん酷いことをされてきたのに、なんでこの人の介護をしなくちゃいけないのよ!」
と思っている家族も少なくないはずだ。

また、障害(精神疾患か知的障害かその両方なのか?)をもつ息子を閉じ込めていたとして、父親が逮捕されるという事件があった。

暴力をふるい、ものを壊し、トイレも使えない。息子を外に出せば人様に危害を及ぼすと考えて「ほかにどうすればいいか分からなかった」と答える父親。最低限ではあるが食事をさせ、入浴もさせていた。エアコンや扇風機も使っていた。(元記事

檻はひどいと思うし、夕方のTVのニュースでは「檻に監禁」や「南京錠」という過激な言葉ばかりが強調されていたが、でもこの父親は本当にどうすればいいのかわからなかったのかもしれない。父子どちらにとっても、不幸で残酷な話だと思う。

私にも経験がある。重度障害をもつ妹は、夜ごと狂ったように叫び声をあげていた。家族のほうがおかしくなるくらいの雄叫びだった。なだめても、すかしても、話しても、微笑みかけても、怒っても、泣いても、歌っても、睡眠薬をのませても、どうにもならなかった。幸いご近所さんが理解ある方々でよかったけれど、これで苦情がきていたら、猿ぐつわよりほかに方法がなかったかもしれないと思う。防音の部屋があったら閉じ込めてたかもしれない。もし妹が動ける体だったら、暴力をふるっていたら、私はどうしていただろうか?

「誰かに相談できなかったのか」
「役所がなんとかできなかったのか」
「もっと他にやり方があるはず」
って外野はヤイヤイ言うんだけど、誰に相談してもどうにもらないケースというものは確実に存在する。うちの妹の場合は施設に入れるより他に手がなかった。打つ手があっただけ幸せだ。

十年ほど前に手記を読んだことがある。暴力がひどいからと施設入所を何軒も断られ、デイもショートも使わせてもらず、薬もきかず、なぜか入院もさせてもらえなくて、家族が介護離職して3人がかりで暴れるおじいちゃんの介護をしたという話。おじいちゃんだから数年で亡くなったけど、これが弟とかだったら兄弟の人生には絶望的だ。私たち家族は、どこまで負いつづけなければならないのだろうか。

外から見れば「酷い介護」であっても、家族に家族の事情がある…かもしれない。
在宅介護には「こうあるべき」みたいな理想は必要ないし、テンプレートなど存在しない。みんな頑張っているのだから。(まあ、ほんまにアカン場合もあるけど。)

本日の猫写真。

『天才!志村どうぶつ園』をみながら「かわいい!」って歓声をあげてたんだけど、ふと横をみたら、ここにもかわいいヤツがおりました。

コメント

  1. 昔、社宅で一軒家二階建てだけど、隣と壁だけくっついて、それぞれ庭付きの家に住んでいた事があります。
    お隣の娘さん座敷に檻があってそこに居たようでした。
    庭で日光浴させると洗濯物を、全部地面に叩き付けお母様が大変そうだったのを、幼稚園から小学校だった私は見ていましたが、従兄が小児麻痺だったり、我が家はピアノを鳴らすので、騒音てお互い様と思っていました。
    むしろ聴いて落ち着いてくれたらいいなぁーって、その後引っ越して行かれましたが、現在のように助けが無い時代大変だったと思います。

    ご本一気に読みました。blogの写真を見ながら、また読みますね

    • 座敷牢、30年ほど前はまだ普通にあったそうですね。
      今もおおっぴらにこそできないけれど、他に手段をもたない家族が、障害のある人たちを閉じ込めているのでしょう。
      じーじょさんのような方がご近所さんなら少しは状況も違っていたかもしれません。
      でももし、外に出れば田んぼの水路を壊してまわり、車のフロントガラスを割ってまわり、他人にケガをさせてしまう、そんな人(実際にそういう方がいました)が隣に住んでいたら正直怖いと思います。
      昔よりは制度が整っているとはずの現代でも、
      「家族が眠れないくらい暴れても、なかなか入院させてくれないのよ」
      と嘆いている家族さんがいらっしゃいました。
      今でも大変な人はいっぱいいるのです。

      本、読んでくださってありがとうございました!
      写真もっと載せられたらよかったのですけどねー。

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