言葉を話せない家族の話を聴くこと

スポンサーリンク

介護者むけの「傾聴」の講座を受けた。

・うなずき、あいずち、眼差しによって「聞いていますよ」と伝えましょう
・すべてを受容し共感しましょう
・アドバイスではなく、相手が自分で解決できる道へ導きましょう
・「はい」「いいえ」で答えられる質問だけではなく自由に話して頂きましょう

などなど。

「ほうほう」「なるほど」「勉強になるなあ」と感心して聞いてたんだけど。仕事に活かそう! とか思うんだけど。介護の仕事では活かせるかもしれないけど。

家族の介護ではこれがなかなか難しい。

ちょうど、施設入所している妹が帰ってきて
「あんねー!」
と話を始めたので、傾聴してやろうと試みたのだけど・・・

妹は、身体障害も知的障害もとっても重い。斜視と不随意運動があって、言える言葉は二十~三十語くらい。「イエス・ノー」「おしっこ」「食べる」「行く」などの必要最低限語だけだ。私がうなずいたって見えてないし、視線なんか合うはずがない。まず、9割9部、何を言ってるのかわからないのだ。

こいつに一般的な傾聴のテクニックは通用しねえ!
と、5分で挫折した。
なにか間違ってるぞ私。

私が妹の話すを聴くときは、一緒に並んで横になり、頭をくっつけて話す。視線とかどうでもいい。

私「こないだヘルパーさんと遊びに行ったんやって?」
妹「うん!」
私「どこにいったの?」
妹「○△□○●〒※!」
私「(ぜんぜん分からないけど、日記に『電車とバスで花の道に行きました』って書いてあるぞ)そっか、宝塚か。花の道歩いたの?」
妹「うん!※△○☓・・・!」

私「そらよかったなあ」
妹「うん!」
私「バス乗って電車乗って?」
妹「うん!あんねー!・・・(意味不明)」
私「(わからんけど)へえー!バスの色は何色?」
妹「○○○!(意味不明)」
私「ごめん、わからん」
妹「き!き!」
私「黄色か?」
妹「うん!」

妹「あんねー、だだ、どこ?だだ、どこ?」
私「もしかして私を探したの?花の道に私がいるかもって思った?」
妹「うん」
私「いるわけないやろー!」
妹「あはは!」

このあと妹は15分くらい喋った。ヘルパーさんが1人だったこと、コンビニでパンを買って花の道で食べたこと。パンはいくつか買ったこと。でも、どんなパンを買ったのかまでは判別できなかった。

事前の情報と誘導、二択の質問と推測の連続。正直、私は妹が伝えたいことの2%くらいしか分かってあげられないと思う。ダメダメな家族だと思う。
でも、
「よっしゃ今夜は話し聞くで!」
と私が言い、妹が
「あんねー!そんでねー!」
としゃべり始め、意思疎通はできてないかもしれないけど、それはそれで楽しいひとときなのだ。妹も、妹にしか分からない言葉をひとしきりしゃべり、それでスッキリしているらしい。

話を聞くって難しい。
今日、妹は家に泊まるので、朝までたっぷり話ができる(妹は絶対に寝ません)。
・・・がんばろう・・・。