「退院したら自宅に帰りたい!」「危険です!」

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リハビリ入院中の叔父の、月に一度のカンファレンスというか、「お話し合い」があった。病院側と、患者家族とが今後の見通しについて相談をする。叔母といとこと私が出席したが、母は欠席した。天気がわるかったから。30分くらいで帰れるかと思って母を家に置いてきたのだが、とんでもなかった。

叔父は60代後半。独身。
脳出血の後遺症で、口とのどに麻痺が残る。
会話困難。よだれあり。
刻み食はなんとか食べられるが、見守りが必要。
胃瘻もつけてる。
抗うつ剤投与。
家事できない。
要支援2。

結婚歴も子供もなく、ついでに定職にもほとんどついたことがなくて、貯金はほぼゼロ。近い将来、生活保護を申請する予定。

主な議題は退院後のことだった。今後どうすれば生活できるだろうか?

ケースワーカーさんがいくつかの選択肢を示してくれた。

1)自宅で一人暮らし
2)別のリハビリ施設へ行く
3)サービス付き高齢者向け住宅

叔父はもともと鬱傾向があり、数ヵ月の入院生活でウンザリしているから、「2)別のリハビリ施設へ行く」はナシになった。

残る選択肢は2つ。

1)自宅で一人暮らし:自由だけど危険
3)サービス付き高齢者向け住宅:不自由だけど安全

本人はもちろん、私たち親族も当初は「自宅に帰れたらいいね」と思っていた。だけど病院側の説明で、それはだいぶ難しいことであり、危険であることが判明した。

今の状態で一人暮らしをすると、

・誤嚥性肺炎の危険がかなり高い
・自分で食事(刻み食)の用意ができない
・要支援なので、ヘルパーさんは週3回、短時間しか入れない
・刻みの配食サービスはお金がかかるから無理

つまり「一人暮らしは、できないこともないけど、超危険!」なのだ。病院側としては断然、サ高住がおすすめらしい。そんならもう選択肢に在宅を含めないでほしかったのに。

私はかつて、母が施設入所をすすめられたとき、それをふりきって在宅介護に決めた経験がある。だからこそ言う。
「サ高住にしてくれ!」
だって叔父には私のような娘はいないのだから。仕事をやめて四六時中つきそってくれる家族はいないのだから。独身ってそいうことなのだから。

先生は「親戚(私たち)が面倒をみればすむ話じゃないの」って言いたげだったし、叔父も、本心では私たちに面倒みてほしいと思っているのかもしれない。

お断りである。

これが父なら私は少々キツくても介護をするだろう。だが叔父は違う。今の私には、とてもじゃないが親しいとはいえない叔父の面倒までみる余裕はぜんぜんない。いとこも同じような境遇である。妻子がないのも貯金がないのも親族との関係がわるいのも、ぜーんぶ自業自得じゃないか?

現実をみとめてなんとかサ高住に入っていただきたい!これがその場にいた全員の一致した意見だった。

そこから攻防戦が始まった。
サ高住に入れたい全員 VS どうしても自宅に帰りたい叔父。

医師「お世話してもらう人がいなければ危険ですよ」
叔父「でも一人暮らしがしたい!」

ケースワーカー「サービス付き高齢者向け住宅なら、ご飯がついているので安心ですよ」
叔父「老人ばっかりの所なんかイヤだ!」

リハビリの先生「何かあってもすぐ受診できるし。うまく喋れないからご自分では救急車も呼べないでしょう」
医師「脳卒中が再発する可能性もあります」
叔父「それでも一人暮らしがしたい!」

話がぜんぜん進まない。
本人はもう「自宅で一人暮らしがしたい」しか言わない。
「家に帰って、職場(マッサージ)に復帰して、以前と同じ生活がしたい
そりゃあ気持ちはわかるけどさ。可哀想だとは思うけどさ。だからどうしろっていうの? 昔から夢ばかりみて周りに迷惑をかけまくってきた叔父は、今もまだ夢をみつづけているように私には思えた。ほとんどワガママに思えた。

私はだんだん腹がたってきて、叩きつけるように言ってしまった。

「その状態で一人暮らしするってことは、肺炎おこしていつのまにか死んで、数日後に発見される可能性が高いていうことやで! それが現実や!」

それでも叔父は最後まで「家に帰って一人暮らしする」をくり返していた。もう誰がなんと言ってもきかないだろう。今までの人生がすべてそうであったように、やりたい放題したいんだろう。そうしてまた借金をつくったり、人を傷つけたりするのだろう。ほんとやめてほしい。

せめて要介護だったらヘルパーさんに毎日入ってもらえるのに、要支援2じゃとても足りない。アパートの住人と、第一発見者となるであろうヘルパーさんに申し訳ないから、なんとか孤独死だけは避けてほしいところだけれど…。ボランティアさんとかに頼めないかな…。

ああ、疲れる。

本日の猫写真。

「おふとん、開けないで」

シシィさん、あんたの介護は私がするから安心していいよ! 17年くらい先の話やけどな!

コメント

  1. ああ…もう、ほんとお疲れ様ですとしか申し上げる言葉が見つかりません。
    元通りになりたい、前の様に生活したいという叔父さんの気持ちも分かりますけど、現実には「絶対無理」なんですから。
    無理を通して孤独死されたら親戚と親戚が多大な迷惑被るんだって、そういうことにも思考がいかないところが失礼ながらもう正常とは言えないですよね。
    元のお住まいは今どうなっておられるんですか。
    もし、仮退院が可能なら、2日くらい誰の世話にもならず一人で暮らしてみたら、あれも出来ないこれも出来ない、ナイナイ尽くしで案外あっさり根を上げそうな気もしますが(酷)
    まあ、病院がそんな危ない橋を渡る許可出す訳ないか。
    とにかく本人が拒否してるのを簀巻きにして叩き込む(をいっ)事は出来ませんから、同意してくれないと本当に困りますね。

    • ありがとうございます。読んでるだけでもめんどくさくいでしょう(笑)
      >無理を通して孤独死されたら親戚と親戚が多大な迷惑被るんだって、そういうことにも思考がいかないところが失礼ながらもう正常とは言えないですよね。
      ぜんぜん失礼じゃないです。
      そう言っていただけるとむしろ救われます。
      やっぱり異常ですよね?
      迷惑かけてるの分かってるの?って以前きいたら
      「これくらい何が迷惑やねん」
      て言われました。
      もはやなんかの障害だとしか思えないんですが…診断書でないし。
      せめて認知症ですと言ってくれたら…。
      でも困ったことに外面だけはいいんですよ。
      だから周囲の人から「酷い親戚」「もっと世話をしろ」と思われてて理解が得られません。よくあるパターンですね。

      元の住まいは元のままです。車もあります。乗ったらどうしよう。
      2日でネをあげてサ高住に行きたいといっても、すぐには移れませんから…
      まったく、簀巻きにでもなんでもして放り込みたい気分ですよ。

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