これまでのこと

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 こんにちは。皆様ご無沙汰しております。半年ぶりの更新です。
 最初にいっておきますが、私は元気です。

 ここ1,2年、両親の介護が重くなり、仕事も増えて、猛烈にバタバタしておりました・・・いや、時間がないというより精神的に余裕がない状態です。このブログもかなり更新していなかったため、各所よりご心配頂いておりましたが、書く暇がないのではなく気分的に「それどころではない」状態が続いていました。

 家というのは最も安らげる空間であるべきですが、W在宅介護にそんなものありません。いつ呼ばれるか、いつ嘔吐するか、いつ転倒するか・・・家にいる間は常に耳を澄ませ、気を張っていなければいけません。むしろデイサービスの仕事で利用者さんとお茶のんでおしゃべりする時間が唯一の息抜き。とてもじゃないけど落ち着いて文章を書く気持ちにはなれませんでした。

 もっというなら「1秒でも介護から離れたい、離れなくちゃ」と焦っていました。私は仕事も介護職ですから、朝起きてから夜寝るまで完全に介護尽くしの一日です。普通に暮らしているだけで窒息しまいそう。なので夜、両親が寝てから次のトイレに起きるまでの間だけでも尿の臭いしない場所に心を置き(心だけでも!)、介護を忘れて自分を休ませようと、意識的に介護から離れる時間をもつようにしていました。

オヤジについて

 とくにここ半年~1年はオヤジの介護がちょっと大変でした。先月73歳になったばかりのオヤジですが、身体的には90代の衰え方。多点杖でえっちらおっちら少しだけ歩ける状態です。タバコを吸うので細かい血管がしょっちゅう詰まります(ラクナ梗塞)。

「タバコなんて吸うからだ!」

 とみんな言います。あたりまえです。ドクターストップなんて20年くらい前から出ています。なのに止めない。誰がいっても何をいっても吸いつづける。「じゃあ与えなければいい」と思うでしょう?そうしたらどうなるか?

 出て行っちゃうんです。

 ほとんど歩けないくせに小銭を握りしめてタバコを求めて出ていっちゃう。だいたい庭か門の先にいるから気が付いて迎えにいくけど、一度はしばらく気づかなくて行方不明になってました。お隣さんから「あそこ歩いてたよ!」と電話をもらったりしてました。家から百メートルほど離れた店を目指して3時間ほど歩いてました 普段ぜんぜん歩けないのにタバコなら買いに行けるから不思議。そのあと十日ほど寝込んでました。

 原因がはっきりしているのでタバコさえあれば徘徊は防げます。そして現代の介護にはQOLという考え方が存在するのです。

QOLとADLの葛藤

 QOLは介護を学んだことがある人なら必ず知っている言葉でしょう。クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)。生活の質。人生の質。つまり「幸せ」です。高齢者介護においてQOLはわりと大事で、QOLが落ちると認知症がすすんだり鬱になったりします。

 皆そうですけれどオヤジは病気になったことでいろんなものを失いました。車の運転も、お酒も、競輪も、麻雀友達も、将棋サークルも、好きなことぜんぶ。それだから「せめてタバコだけは取り上げないでくれ」としがみついているのです。「死んでもいいからタバコを吸いたい。棺にはタバコを入れてくれ」「タバコを吸えないなら生きている意味はない」と言っていました。歩けないくせに命がけでタバコを買いにいくようになり、車にひかれたら周りに迷惑だし、私も大変だし、

「しゃあない、QOL重視で」

 と毎日3本ずつタバコを渡すことにしました。タバコを吸っているときのオヤジはとても幸せそうでした。狭心症もあるので「いざという時は延命治療はなしで」という話もしていました。

 QOLに対してADLという言葉もあります。日常生活動作、つまり体がどれくらい動けるかということです。QOLとADLは相互作用があって、体が落ちると生活の質も落ち、幸せを感じると体の動きもよくなることがある、と言われています。実際、オヤジも「タバコを買うためなら」と少しだけリハビリがわりの散歩をするようになりました。

 が、もちろんそれだけでは済みません!タバコを吸えば吸うほど血管が詰まります。ラクナ梗塞です。ときどき「今日は調子悪いな」という日があり、立てなくなっても2,3日で元に戻ります。

 ただ完全に戻るわけではなくて少しずつ少しずつ悪くなっていく。いろんなことがちょっとずつできなくなってゆく。バタン!と倒れていきなり要介護5になった母とはまた違った「これぞ介護」な大変さがありました。

(つづく)

コメント

  1. お久しぶりです。
    だださんは「書ける人」ですが、それでも状況次第で書けないこともあったと思います。
    いつか、だださんが自分から書いてくださる日が来ればいいなあとぼんやりと思っていました。
    書くことを整理するのも、書くという行為そのものも時間が要るものです。
    とりあえず、お帰りなさいです。
    のんびりまったり続きをお待ちしています。

    • おひさしぶりです!
      自分でも気が付かないくらい、いっぱいいっぱいだったようです。
      わりと記憶も飛んでいます。
      まだまだ疲れが激しいですがだんだん元の自分に戻っていけたらと思います。
      優しいお言葉ありがとうございます!

  2. 更新ありがとうございます。
    安否確認のように、毎日ブログに訪れては更新がない事の確認をしておりましたので
    本日の記事を見て思わず『おぉっ』と声が出てしまいました。
    どうぞ、プレッシャーに感じずにマイペースに更新して頂けたら幸いです。

    • 安否確認してくださっていたのですか!
      ありがとうございます。
      ご無沙汰して申し訳ないです。
      以前のようなペースに戻ることは難しいですが、書けるときにぼちぼち進めていこうと思います。

  3. こんばんは

    再開されて嬉しいです。どなたか大変な状態になってしまったのかなーと心配しておりました。
    本当にお父様のことは、うちのおやじとそっくりで、失礼ながら笑ってしまうほどです。
    オヤジも脳梗塞に3年前になり、タバコ、酒 競馬できなくなりました。父がタバコを辞めるなんて、天地がひっくり返っても無いと思っていましたが、吸いたくても美味しくらしいです。お父様の気持ち痛いほどわかります。誰だって病気になりたくてなったわけじゃない!って叫びたいでしょうね。うちの両親は85歳になり、もういつ死んでも悔いはないとは思いますが、まだ74歳のお父様はもう少しこの世で楽しんでいただきたいです。死ぬほどタバコを吸って悔いなしとなってほしいです。「この世の幸せ」って何なんでしょうね。とにかく最後は笑って死ねる人生であってほしい、そう思っているのですが、なかなか無理な話でしょうね。

    だださんの健康を、少しでもほっとできる時間が少しでも増えますように願っています。
    絶対無理なのはわかっています、私も年々在宅介護が辛くなってきました。この猛暑で、先日母に「2,3日ショートステイに行かない?家じゃ暑いし、私も疲れてきたんだよ」て言ったら「こんな暑い時に外なんか行けないわよ。あんたが大変なのはわかるけど、歩けるうちは家にいさせてください」って言われてしまって、、。腹を決めるしかないかなって。

    • リンゴさん

      こんにちはー返信が遅くてごめんなさい。
      たしかに大変なことになっていました。
      私自身は元気なのですが仕事に穴をあけまくりです。
      リンゴさんのお父様は脳梗塞でたばこが美味しくなくなったのですか。オヤジはどうなんでしょう、今回こそ辞めてくれたらいいのですが・・・
      たばこって火事にもつながるので怖いんですよね。
      ただまだ生きたい欲はあるらしいので、おいしいもの食べたり、孫や猫に会わせてあげたいとは思います。

      ショートステイは絶対に必要だと思っています。うちは母が嫌がっても月1は行ってもらいます。「私が倒れたらお母さんは施設しかないよ」と言ったらあきらめてくれます。レスパイトはお互いのためですからね。なんとか2~3泊してほしいけど料金が高い!

      お互いぼちぼち頑張りましょう。

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