とくに原因となるケガや病気がなくても、じっと動かないでいると筋肉が衰えてしまう。入院をきっかけに足腰が弱ってしまうことが多いが、たとえ元気な人でも、家でゴロゴロと寝っころがってテレビばかり見ていると、脚が衰えて歩けなくなってしまう。これを廃用症候群、または生活不活発病という。
今日はその実例を目にした。本当に、ほとんど歩けなくなってて、周囲も本人もびっくり仰天した。「ケガも病気もしていないのに車椅子がいる！」と。
生活不活発病はこんなにも恐ろしい。
そう話すと、デイサービスのおばあちゃんたちは震えあがって
「がんばって散歩いくわ！」
「階段ののぼりおりするわ！」
とか口々に言ってたんだけど。
同じ話をうちのオヤジにしてみると
「へー」
とだけ返ってきた。
「へー」
それだけ。
無理もない。
オヤジはもう手遅れなのだ。
週１でデイに通ってるからなんとか歩けるものの、めっきり弱ってしまって、去年の半分くらいしか歩けない。
それもこれも一日中、テレビに貼り付いてるからだ。
イサンとホジュンと名前がわからない韓国ドラマと、水戸黄門と遠山の金さんと暴れん坊将軍と長七郎江戸日記を順番にずーっと見ているせいだ。
ある日、「物の名前をたくさん言う」脳トレをやった。
テーマが『野菜』なら、大根にんじんジャガイモ玉ねぎ・・・とできるだけたくさん挙げていく、というもの。
私はオヤジに
「時代劇のタイトルをできるだけたくさん言ってください」
とお題を出した。
サービス問題のつもりだった。
一日中ずーっと見てるから、これなら答えられるだろう。
ところが
「・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・。」
マジかよ！
何もでてこない。
考えても考えても出てこない。
水戸黄門も遠山の金さんも暴れん坊将軍も長七郎江戸日記も出てこない。
一体、毎日なにを見ているんだ？
数分も考えて、ようやく絞り出した答えが
「『剣客商売』」
うん、いいけど、年間362日くらい見ている水戸の御老公に失礼じゃないか？
そういえば去年の認知症テストのとき、
「哺乳類をできるけ多く言ってください」
という問題がだされた。
オヤジは5分以上も考えた挙げ句、よりにもよって
「ラッコ」
と答えたのだった。
犬や猫でもなく、ラッコ！
オヤジは脚だけじゃなく、頭まで生活不活発病で、そのうえ脳みそがこむらがえりを起こしているのだと思う。
本日の猫写真。
「このベッド小さいのよ！」
と、ふてくされ気味のシシィさん。
あんたが大きすぎるんだよ・・・？
