母がデイサービスに行くのは月・木・金の週3回と決まっている。
だが、デイでイベントがあるときは利用日以外でもたまに行くことがある。
先日も
「ハロウィン・イベントをするのでぜひ来てください!」
と招待され、土曜なのにデイへ行った。
利用日以外にもデイへ、・・・行くのはいいんだけどね。
デイの行き帰りの時間に私が家にいなくちゃいけない。
これが毎回ハードルだ。
土曜日、母が帰宅するのは5:15。
そして私の仕事が終わるのも5:15。
・・・うーん、間に合わない。
デイから帰ってきた母を受け取れない。
そこで
「お父さんよろしく!」
たまのことだから頼んでみた。
お母さんがデイから帰ってきたら、鍵を開けてあげて。
そのあと2人でコーヒーでも飲みながら待ってて。
私、10分で帰るから。
10分だけだから。
トイレには絶対、連れていかないでね。
「よしきた!」
オヤジは二つ返事で引き受けた。不安しかない。
そして土曜日。
5:15分ちょうどに仕事が終わった。
デイサービスには連絡済だから、母は職員さんの手によって家の中に入るはずだ。
そしてオヤジとコーヒーを飲んで待っている・・・はずだ。
帰り道を急ぎつつ、スマホの見守りカメラをオンにした。
あれ?
いない?
母がいないぞ?
カメラが映し出したのは空っぽの部屋。
デイから帰宅しているはずの母の姿がない。
オヤジもいない。
2人ともどこにいった?
「おーい、帰ってる?」
スマホから呼びかけた。
すると驚いたことに
「帰ってるよー!」
声だけが聞こえる・・・少し遠くから。
もう帰ってる。
なのに2人とも部屋にいない。
別の部屋にいる。
と、いうことは!
「お父さん!!!!」
私はスマホに向かって絶叫した。
「トイレ連れていかないで!絶対に!トイレに!連れていかないで!」
「・・・やっぱりアカンていうてるで?」
ほっとしたような、のんきそうな、オヤジの声が小さく聞こえた。
母は帰宅するとまずトイレに行きたがる。
私がいないもんだから、
「トイレにつれていって」
とオヤジに頼んだのだ。
そんなことしたら、絶対に事故になる!
「お母さん、トイレは絶対にダメだからね!私5分で帰るから待ってて!」
超特急で家に帰る。
2人ともまだトイレにいた。転んでいない。
「もう、ダメだって言ったでしょ!?」
安心感で、思わず大きな声が出た。
「あのね、お父さんはね、ダメだって言ったの。でも私がどうしてもトイレに行きたいから連れていって、って頼んだの」
母が解説した。
オヤジは苦笑いを浮かべている。
オヤジは、「自分にトイレ介助はできない」と頭では理解しているようだ。
だが母に頼まれるとどうしても断れない。
断れないところが障害なんだと思う。
私のいない10分間。
「トイレに行きたい」という母と「介助はできない」という理性の間で葛藤していたのだろう。
私のいない10分間。
オヤジの理性が打ち勝った。
よく頑張った。
・・・たかが10分でもダメかあ。
本日の猫写真は、毛布をフミフミするときシシィさんです。恍惚。