早朝の地響き

この季節は、夜明けの頃が一番涼しくて気持がいい。
今日もぐっすり寝入っていた。
本当に気持よかったんだ。

けれど・・・

どすーーーーーん。

物音と共に家が揺れて目が覚めた。
いや、地震ではない。
原因はわかりきっている。
オヤジがどこかで転倒したのだろう。

オヤジは転んだら自分では起き上がれない。
すぐに助けに行かなくちゃいけない。
助け起こしてケガの有無をたしかめなくちゃいけない。
・・・いけないけど。
正直「めんどくさい！」と思った。
せっかく気持よく眠ってたのに！

オヤジはしょっちゅう転ぶし、擦り傷くらいで大したケガにはならない。
お互いもう慣れっこになってしまっている。
面倒くさくなってしまっている。
（仕事なら秒で駆けつけるけどね）

それでも行かないわけにはいかない。
万が一ケガしてたら困る。
それで必死でまぶたをこじあけ、体を起こし、ベッドを下りた。
午前５時だった。

オヤジはいつもどおり玄関を出たところに転がっていた。
近頃はいつもタバコを吸おうとしてコケるようだ。
禁煙すればいいのに。

転倒して地面にひっくり返ってる要介護２の父親に向かってかけるべき言葉はやっぱり
「大丈夫？」
であるべきだと思う。
介護者としてはそうあるべきだと思う。
だけど私の口から出た言葉は残念ながら
「何やってるねん」
だった。
アホかいなまたかいな、という言葉を飲み込んだだけマシだと思う。
「どこか打ったか」
「いや」
「どっか痛いか」
「いや」
「ほな起きるで」
裏返ったカメムシみたいに仰向けでジタバタしているオヤジを引っ張り起こす。
広い場所だし、母と違って立てるので、テコの原理を使いさえすればそんなに難しいことじゃない。
肩をちょっと擦ってるだけでケガもなさそうだ。
「ほな寝るで」
それで終わった。

暑さを訴えるミー先輩

早朝だからよかったけど。
私がいない間にタバコを吸おうとしてまた転んだら困るな、と思った。
屋内ならともかく外は困る。
日中なら30分で干上がるだろう。
けれどタバコだけは誰がどう言おうとやめないし。
家の中でタバコを吸ったら火事になるし（前科アリ）。
ほんま困ったやっちゃなー。