人生はケ・セラ・セラ

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訪問介護やデイサービスの利用者さんの昔話を聞き書きする企画『さわやか今昔ものがたり』。平均年齢90才くらいの利用者さんたちのお話をいろいろ聞いてきた。
戦前の話。
空襲の話。
戦後復興の話。
人生の話。
いろんなお話を聞いたけど、やっぱり苦労話が多かった。
それは私が
「若者に伝え残したいお話を」
とお願いをしたからだと思う。
忘れられない酷い時代を経験した方がほとんどだから。
そうでなくても長い人生、つらいことや悲しいことがたくさんあったはずだ。

・・・なのに。
「そんなん、無いわ。ハッハッハ!」
快活に笑いとばしてしまう猛者があらわれた。
戦争体験を聞いても
「生きてるから、ええやん!」
で終わりである。
つらいことも悲しいことも、
「忘れてしもた」
てなもんである。
自分が大事につかっていたソロバンを家族捨ててしまったという話でさえ
「捨てよっ てん、ワッハッハー!」
大笑いである。

「だってしゃあないやん、もう、捨ててしもたんやから。ぐちぐち言うても戻って来んやろ。私は若い頃から、終わったことは忘れることにしてるの。前しか見てないの。人生ケ・セラ・セラや。ハッハッハー!」
大口あけて豪快に笑う。
笑って笑って笑いまくってインタビューは終わった。
明るい認知症万歳。
なんだこりゃー。

人の老い方はさまざまだが、齢を重ねれば重ねるほど、より過去に惹かれものだ。
古き良き時代を懐かしむ人もいれば、古傷を見つめて自分をいじめる人もいる。現代を否定して攻撃的になる人もいる。
だがこの方は
「私な、今めっちゃ楽しいねん。このトシになって幸せやなんて、最高じゃない?」
と言うのである。
「だから昔のことはどうでもええねん。今日のご飯がおいしかったら、昨日何食べたかなんて、どうでもええねん!」

窓越しに太陽を浴びるシシィさん

くよくよするな。
前を向いて生きろ。
人生はケ・セラ・セラ!

結局、「若者に伝えたい言葉」としては最高だなと思った。
でもこのインタビュー、どうやってまとめたらいいんだろう・・・

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