オヤジの単独ホテル泊

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「うーん、そろそろ、もうダメだ」
と思い始めたのが去年の秋だったか。
私もお休みがほしいと思い始めたのだ。
いや、仕事の休みじゃなくて。家事でもなくて。在宅介護のお休みだ。
束の間でいいから介護から解放されたい。
オヤジから解放されたい。
一晩でいいから、家でゆっくりしたい!

今のところオヤジは要支援1である。カップ麺くらいなら自分で作るしトイレにも歩いて行ける。会話もまあまあ成立してる。

だが、介護度が軽い=介護が楽、というわけじゃあない。オヤジとは似た者同士のせいか、昔からあんまり合わないこともあって、近くにいるだけでお互いイライラするのである。

そんなオヤジがずーっと家にいる。
365日。
24時間。
お休みの日も。
母がショートステイに行ってくれても。
オヤジだけは家にいる。
ずーっとおしっことタバコの臭いがする。
イライラ、イライラ、イライラ、イライラ・・・!

夫源病ならぬ父源病になりそうである。
オヤジのほうも同じだと思う。

「うーん、そろそろ、もうダメだ」

それでオヤジも母と一緒にショートで1泊してもらえないかと思ったんだけど。
制度的には要支援でも行けるんだけど。
「さすがに、ちょっと、なあ・・・」
施設泊まりにはまだ早いようで、頑なに拒否された。

それで提案した。
「施設がダメなら、一人でホテルに泊まってみる?」
と。
「いいね!」
オヤジはとても嬉しそうだった。

近所のホテルにシングル1泊の予約をした。
夕飯はコンビニ弁当の持ち込み。
この時期なので朝食ビュッフェもない。
お金を持たせないことでお酒とタバコは阻止できる。
代わりにお菓子をたくさん持たせてやった。

お粗相が心配だが、このあいだ大阪のホテル泊のときは何も問題がなかった。
母もそうなんだけど、外泊のときは緊張しているから、わりと大丈夫なのだ。

ただ、転倒したら起き上がれない問題・・・
「コケるなよ」
としか言えない。
それから、お風呂に入ったら一人では上がれない問題・・・・
「入るなよ」
しか言えない。
「大丈夫!」
と本人はなぜか自信満々なのだが。

一か八かの賭けである。
ホテルに迷惑をかけるかもしれない。
本当に一人で泊まらせていいものか、ギリギリまで悩んだ。
悩んだ挙げ句に
「ま、なんとかなるやろ」
と思うことにした。私のストレスだってもうギリギリだから!

いつでもだらだらしてる猫

そういうわけで昨日、母は朝からショートステイに行き、オヤジは午後からホテルにチェックイン。
私は一人、猫たちと久しぶりに心ゆくまでダラダラしたのだった。
もう最高だった。
天国だった。
ステイホーム万歳だった。
だって家にいるのに誰のパンツの心配もしなくていいんだよ!
1時間でも2時間でも寝転がってマンガ読んでて平気なんだよ!
すごくない?

それでも何度かオヤジに電話をした。
「薬の時間だよ」
「危ないからお風呂に入ったらダメだよ」
「朝だよ、起きて!薬飲んで!」
そのたびにオヤジは「わかったぁ」と頼りない返事をしていた。

もちろん、ぜんぜん、わかっていなかった。

朝、オヤジは無事にチェックアウトしてきたのだが。
薬はひとつも飲んでなかったし
「お風呂に入ったら、出られなくなってしもて、大変だった」
と話した。
・・・だーかーら、風呂に入るなと言うたやろ!
まあ無事にすんでよかったけど。
粗相もなかったようで、ホテルに確認をとったら(弁償しなくちゃいけないかと思って電話した)、しばらくして折返し電話があって
「お部屋に問題はございませんでした」
と言われた。
まあ、めでたしめでたし。

なんだけど。

結論。
ギリギリ大丈夫だったけど、やっぱり危なかったと思う。
怖いから、もう、やめておこう。

次回は私が泊まろう。(家がおしっこだらけになるな)