妹のU子は7年前から身体障害者施設に入所中。7年間、毎月1度は帰宅させていた。それが新型コロナウィルスのせいで会えなくなって3か月が経つ。3か月も会えないなんて初めてだ。
非常事態宣言が解除になってすぐ、面会できるのか電話をかけたら
「まだ見通しがたちません」
といわれた。
世の中にはオンライン面会なんて便利なものもあるが、施設の予算はいつもギリギリな上、エレベーターを修理したばっかりでもあるし、オンラインに対応する余裕はないのだろう。
それが最近ようやく、
「屋外で距離を保って短時間の面会なら」
という条件つきでOKが出た。
前日に面会予約を入れ、両親をつれて会いにいく。
ちょうど梅雨の中休み。
いい天気だ。
私たちは建物内に入れない。
受付に声をかけると、玄関先で検温と手指消毒。
もちろんマスク着用。
それから職員さんがピロティに妹を連れてきてくださった。
大きめのテーブルを挟み、
「このテーブルより近づかないように」
といわれた。
ソーシャル・ディスタンス面会だ。
妹もマスクを着けている。いつもなら暴れてむしり取っちゃうのに今日ばかりは神妙な顔で着けているのが新鮮だった。重い知的障害があっても一応はわかっているのだろう。
「U子、ひさしぶり! 元気だった?」
声をかけると妹は、マスクの下で嬉しそうに、でもちょっと照れくさそうに笑った。それから大きな声でしゃべり始めた。
「※〒〇♪〆〓~~!」
一言もわかんない言葉だけど、
「元気だったよ! そっちは?」
と聞いてるのはわかる。
「コロナってさ。イヤになるよね。しばらくはボランティアさんも来れなかったし、イベントなくて退屈でさあ! あ、今はちょっとマシになったよ」
とかなんとか(推測)、いっぱい喋ってくれたから安心した。
そのあと20分ほど、海外にいる妹とLINEで話したり、姪っ子のバイオリン演奏を動画で見たり、猫たちの話をしたりした。母は普通に話してたけど、オヤジはただ微笑んでU子を眺めてるだけだった。
笑顔が見られたのはよかったけど。
やっぱり、ソーシャル・ディスタンスって、寂しいな。
妹の介護は超密接である。
食事介助では後ろから顎を支えるし、排泄介助はオムツだし、移乗のときは抱きかかえる。
いつもいつも、触れて、抱いて、暮らしてきた。
それが今は手も触れられない。
・・・遠いなあ。
1.5mって、こんなにも遠いのか。
帰り道、抜けるような青空を車で走らせていたら、母が
「U子もドライブに連れていってあげたいねえ」
と言った。
早くその日が来ますように!
コメント
わー!
妹ちゃんに会えて良かったですね!
はやくドライブに行けますように!
私の実家は札幌で、流行が早かった分
面会中止がはやく始まり、未だにまだ中止のままです。
入居してる母には父はしばらく会っていません
スタッフさんが
お世話してくれるのはわかっていてもやはり顔みないと
心配は尽きないものですよね、、
今夜は
妹ちゃん嬉しくてなかなか
寝つけないかもね!
私はナースさん達に留守を頼み 買出しに行きました、気分転換になって良かったし久々外出
興奮して私、なかなか寝つけないわ
明日も早いのに!
ではまたオヤスミなさい
久々の外出おめでとうございます!
もうちょっと遠出したいところですけどね…。
札幌は第2波もきましたもんね・・・長いですね。
画面でもいいから顔をみたいですよね。
うちの妹はもともと不眠症なのでこれ以上寝なくなったら夜勤の方に迷惑ですな。
ちなみに私は近頃ゲームが楽しくて眠れません。
久しぶりの面会で、妹さんとても嬉しそうですね。前にマスク無しの妹さんの笑顔の写真がありましたが、とても明るく周りの人を幸せにする笑顔で素敵だなと思いました。
お母様も笑顔の多い方に見えますしだださんの顔写真はあまり出て来ないので分かりませんが、きっと同じく笑顔の素敵な方だと思います。
いつもブログを読ませて頂き有り難うございます
ありがとうございます。
妹はなんにもできないんですけど、笑顔だけは得意なんですよ。
ほんとに嬉しそうな楽しそうな、介護者がつい、やり甲斐を感じちゃうような笑顔なんです。
外面がいいっていうか…上手でしょう(笑)。
叫び声なんかゴジラのくせにね。
母は片麻痺なんで笑顔もいびつです(笑)
私は愛想笑いは得意でございます。フフフ。