利用者さんを泣かせてしまった

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「すみません」
が口癖の利用者さんがいる。
認知症がすすんでできないことが増え、謝る場面も多くなった。
着替えとか。
トイレの後始末とか。
どうしても職員が手伝わなくちゃいけないくて、そのたびに「すみません、すみません」と小さくなっている。
認知症が重くなっても恥じらいはあるし、きっともともと謙虚な方で、申し訳ないという気持ちが強いのだろうと思う。自己否定の気持ちからくる「すみません」を聞いていられなくて、私たちはしょっちゅう同じ言葉をくりかえす。
「謝らなくてもいいんですよ!」

昨日もお風呂のとき「すみません」を繰り返すその方に同じことを言った。
「謝らなくていいんですよ。私たちはSさんが大好きだから、やってるんですよ」
私としては、当たり前のことを言っただけ、のつもりだったんだけど。
利用者さんは泣いてしまった。
顔にタオルを押し当てて泣きながら
「そんな、うれしい、ことを、言われると、泣いてしまいます」

私もなんだか照れくさくなっちゃって
「歌を歌ってくださいよ!」
とごまかすことにした。
「はい!」
Sさんは透きとおった声で『虹の彼方に』を歌ってくれた。

「Sさんみたいに心のキレイな方は、いろいろ生きづらいんだろうね」
と先輩が言った。

いつの日かSさんが『すみません』と言わなくなりますように。

すみません、車椅子つかうんで、どいてください…

とか思ってたら母が言った。
「そういうときはね、『利用料払ってるんだから、堂々としてていんですよ!お客さまは神様です』っていうのよ。それか『あなたがデイに来てくれることで雇用が生まれてるんです。私たちのお給料をありがとうございます』って」
お、おう…たしかにそっちが正解かも…。

コメント

  1. 初めてコメントいたします。

    お母様、最強ですね(^o^)
    確かにその通りです。

    「すみません」と言われると、こちらも気を使ってしまいますよね。
    わたしは「ありがとうございます」と言えるような年寄りになりたいと思います。

    • 初めまして。コメントありがとうございます!
      母は実体験なので最強です(笑)
      まだまだしっかりしてる証拠かも。
      認知症が進むと語彙も減るのですが、おっしゃるとおり、「すみません」より「ありがとう」を覚えていたいですね。