緊急事態「かもしれない」事態

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訪問介護でのできごと。
いつもの時間、いつものように利用者さん宅を尋ねた。ピンポーン、と玄関チャイムを押す。普段なら「はーい」と返事があるはずだが、なかった。何度も鳴らすが応答なし。

これは、一人暮らしの利用者さんにはままあること。
補聴器をつけてなくて聞こえなかったとか。
ぐっすり寝てたとか。
ヘルパーがくることを忘れて出かけちゃったとか。
だいたいそんな理由だ。

なので上司に事情を説明し、利用者さんの電話にかけてもらう。
だいたいこれで解決するのだけど…
「電話に出てくれない」
上司が不安そうな声で言った。

一人暮らしの高齢者に連絡がつかない。
これはけっこう怖いことだ。
家の中で倒れているのかもしれない。
これもよくあることなのだ。

上司がケアマネと相談している間、私は利用者さんの名前を呼びながら家のまわりをうろうろしていた。
すると、窓がひとつ開いていることを発見した。
・・・ここから入れる!
と思ったがそういうわけにはいかない。倒れている利用者さんの姿が見えていて、明らかな「緊急事態」ならともかく、今はまだ緊急事態「かもしれない」状態である。ヘルパーが鍵のかかった家に勝手に入ると住居不法侵入に問われたりたくさんの問題が起こる。

ケアマネから家族さんに連絡して許可をもらい、それから警察を呼んで、立ち会ってもらってようやく入るのだと言われた。
私はやきもきしていた。
超高齢者の一人暮らし。
持病もある。
昨日入ったヘルパーによれば体調が悪そうだったらしい。
そのうえ昨夜は蒸し暑かった。
もしかしたら。
もしかしたら!
と、悪い想像がいっぱいいっぱい膨らむじゃないか。一刻を争う事態かもしれないのになんで警察を待たなくちゃいけないのかと思った。

ケアマネさんが110番にかけようとしたそのとき。
玄関ドアがガチャリと開いて
「おはよー」
利用者さんがのんきに現れた。
「ごめんな、今起きたわ」
「ああああああよかったああああ!」
ケアマネさんが崩折れた。
補聴器なしでぐっすり寝入っていただけらしい。

ご無事で本当によかったけれど。
もし将来、私が一人暮らしで訪問介護を受けることになれば、いざという時にすぐ入ってもらえるように何か手を打とうと思った。それくらい緊迫した30分間であった。

本日の猫写真。遊んでほしいシシィさん。

朝、出勤の準備をしていたら、隣の部屋から猫じゃらしをズルズル引きずって持ってきて
「これで遊ぼう!」
とせがまれました。いじらしくて拒否できない…。

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