訪問介護の仕事で一日に何軒かの家をまわる。高齢でほとんど外出できない利用者さんにとって、家は世界のすべてだといえる。
今日は暑いですね。30度ちかくありますよ!
といいながらお部屋に入ったら、女性の利用者さんが電気ストーブで温まりながら
「そうなの? 私には寒いわ」
と言われた。
今日はいい天気ですね。青空がきれいですよ!
といったら、寝たきりの利用者さんに
「そうか。死ぬには良い日和だ。そろそろ、あちら側へいこう」
といわれた。
同じ一日。
同じ空。
でも、見えている景色はみんな違うし、住んでいる世界もぜんぜん違う。
痛みにみちた家がある。孤独で寂しい家もある。立ち直れない悲しみにみちた家もある。いろんな家があり、いろんな世界があり、いろんな老後がある。
そんなことを考えながら歩いていたら、四つ葉のクローバーを見つけた。
このクローバーは次の利用者さんにプレゼントした。
「まあ、珍しい! 押し花にしましょう」
笑顔で本のあいだに挟んだけれど、1分もしないうちに「どうしてこんなところに本があるのかしら?」とつぶやいていた。
幸せを招くという四つ葉のクローバー。
みんなの幸せを招いてくれますように!
本日の猫写真は、デイサービスのミー先輩。
「みーちゃん、みーちゃん、みーちゃんよう」
歌うように呼びかけていた利用者さんは入院中だ。早くお元気になって、帰ってきますように…!