認知症の方とおしゃべりしていると、
「同じ話をくりかえす」
という方が多くいらっしゃる。何万回でも同じ話を聞かせてくれる。
人によっては
「話が混ざる」
こともある。
言葉がごっちゃになってくる。
最初は
「AさんとBさんが」
と言っていたものが、だんだんと
「AさんとAさん」
になったりするし、まったく別の話がまざって、
「AさんとCさん」
と言ったりする。もっとも、こちらは何万回も同じ話を聞かされているから、少々言葉がごっちゃになっても言いたいことは分るのだけど。
だいぶ前にこんなことがあった。
とある利用者さんが、親戚が亡くなって嘆き悲しんでおられた。
「田中さん(仮名)が亡くなってなあ」
一方で、その日は衣服がちょっと緩んで不快だった。
「パンツのゴムがゆるくてなあ」
何度も何度もくりかえすうちに、2つの話が入り混じった。
・・・さあどうなるか?
「田中さんがなあ、亡くならはってなあ、パンツのゴムがなあ、悲しくてなあ。あの人もパンツのゴムがゆるかったんやろうなあ。昨日ちゃんと直してもらったのに、亡くならはってなあ。ほんま、あんなに元気にしてはったパンツのゴムが亡くなるなんてもう!」
もう。
何がなにやら。
わかるようなわからないような。
泣いていいのか笑っていいのか。
いや、笑ったらアカンのだけれども。
・・・ごめんなさい、ちょっと耐えられなかったです・・・。
ちなみにご家族が
「パンツのゴムが死なはったんか?」
とツッコミを入れたら
「そないなこと、あるかいな!」
と激怒してはりました。
この利用者さんは私の顔をみるたびに
「お母さん、元気?」
ときいてくださる、とっても優しくてチャーミングな方なのだ。
いつまでもお元気で、ずーっと一緒にお喋りしていたいなと思う。
本日の猫写真。
今日はサンジが私のお腹のうえに居座って、どいてくれません。
・・・クッションが良すぎるからか?