名もなき介護

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訪問介護の仕事って、オムツ交換とか入浴介助とか、掃除や調理とか、そんなイメージがあるかもしれないけど、実はもっといろいろある。
細かい仕事だ。
名もなき家事ならぬ、名もなき介護である。

1軒目。
利用者Aさん宅。

私 「なんか臭くないですか?
Aさん「そう?ミカンが腐ってたからその臭いかな」

ガスファンヒーター:ぴーぴーぴー!

私  「ファンヒーターが鳴ってますよ!」
Aさん「それ、久しぶりに使おうと思ったら、壊れてるねん。すぐに消えよる」
私  「ちょっと見ますよ!」

ガスファンヒーターのフィルターが埃でぎっしりと埋もれている。

私 「不完全燃焼ですやん!死にまっせ!」

2軒目。
Bさん宅にて。

Bさん「・・・」
私  「熱心に何を読んでるんですか。チラシですか」
Bさん「下水管の高圧洗浄をな、やってもらおうと思って。今だけ安いんやって」
私  「詐欺ですから!」
Bさん「こんど屋根瓦の葺き替えをします、っていう業者さんが来たんで、ええ機会やから頼もうかと」
私  「それも詐欺ですから!」

3軒目。
Cさん宅にて。

Cさん「携帯電話がこわれたの」
私  「充電が切れてるだけですよ」
Cさん「充電器がないの」
私  「ここですよー」
Cさん「入れ歯もないの」
私  「ありましたよー」
Cさん「棚の上のトイレットペーパーに手が届かないの」
私  「取りましたよー。下の方に置いておきましょう」
Cさん「牛乳をのんだらお腹をこわしたの」
私  「ああああ!冷蔵庫で腐ってるもの全部捨てますね!」

家族と同居の方の場合は、それこそ決められた仕事だけで済む。
お掃除にいってみたら
「このピカピカの家のどこを掃除するの?」
と首をかしげることも多々ある。

だけど独居の方はそうはいかない。たとえ掃除で入っても、それ以外の細かい仕事が、名もなき介護が、無数に・・・ほんとに無数に!ある。
介護保険で決められた時間ではぜんぜん足りない。
だが、このアンバランスさは今の制度ではどうすることもできないのだ。

毛布ふみふみに夢中のシシィさん

ちなみに、我が家の在宅介護の中で一番めんどくさい「名もなき介護」は、母がテレビCMについて語るのを聞いてあげることです。死ぬほどつまんない・・・。

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