先日、在宅介護の楽しさを考えたときに、tomoさんからこんなコメントを頂いた。
「問題やハプニングが発生した場合においてはある意味ゲーム感覚(?)的に攻略法を考える」
そのとおり!
攻略なんだ、在宅介護って。見方によってはちょっとゲームみたいなんだ。
ということで考えてみた。
RPG的「在宅介護という名の冒険」。
勇者はあなた。在宅介護をする家族。
最初の場面は、我が家の場合、病院だった。
医者
「よく来た勇者よ!
そなたが選ぶのは在宅介護か?
それとも施設入所か?」
・・・『在宅介護』を選択。
ソーシャルワーカー「ではケアマネさんを選んで冒険を開始してください」
医者「行くがよい、勇者よ!」
ゲームのシステムなどちんぷんかんぷんのままフィールドに放り出される勇者。
とりあえず渡されたリストの中からてきとうにケアマネージャーを選択すると、ようやくチュートリアルが始まった。
ケアマネ
「初めまして!ようこそ介護の冒険の世界へ!
私がこの世界をご案内します♪
まず最初のクエスト『介護認定』を受けましょう」
言わるがままにあっちこっちを行き来して、介護認定クエストを完了する。
ケアマネ「おめでとうございます!要介護に認定されました!」
♪テレレレッレッテッテー
勇者はレベル2になった!
ケアマネ
「武器や防具はかならず装備してください。
装備しないと意味がないですよ?」
そこで勇者は
・デイサービスの剣
・訪問リハビリの盾
・福祉用具レンタルの鎧
を装備した!
♪テレレレッレッテッテー
勇者はレベル5になった!
ケアマネ
「戦闘で疲れたら、アイテム『ショートステイ』でHPを回復できますよ。
ただし、アイテムを使用しすぎると点数がなくなっちゃうので注意しましょう!」
チュートリアルが終わると、次から次へと新たな敵が遅いかかってくる。
たとえば尿漏れ。リハパンからどうしても漏れてしまう水系の敵だ。とくに必殺技・下痢便は攻撃力が高く、勇者のHPを一撃で奪う。
だが何度も戦ううちに、勇者も少しずつレベルアップし、スキルを身につけ、強くなっていく。胃腸外科をおとずれ、排泄コントロールの薬をもらい、新製品のリハパンを手に入れると、尿漏れもほとんど起こらなくなるし、起こっても平気だ。これで「尿漏れクエスト」はクリアだ。
人によって様々な敵に襲われることだろう。我が家の場合は妄想とか褥瘡とか退屈だった。今は肥満という敵が近づきつつある…。
それでも、被介護者は、敵ではない。戦うべき相手はあくまでも立ちはだかる困難の一つ一つであって、私たちは介護される人と戦うわけではない。むしろ大事な相棒というところだろう。
どんな冒険でも共通することは、一人では戦えないということだ。
技術があればアイテムを自分で作ることはできるだろうし、時間やお金やスキルがあればソロプレイも可能。が、ふいに襲いかかってくる中ボス「自分の病気」だけはどうにもならない。ケアマネさんや事業所とパーティを組まなければ強力な敵に勝つことはできない。介護者どうしのギルドに入り、情報交換をするのも良いだろう。どこに行けばどんな武器が手に入るか、情報を得ることはとても大事だ。
だからこの冒険において最強の魔法は
「助けて!」
かもしれない。
激しい攻撃を受けてHPがゴリゴリ削られているときに「助けて」って言えるか言えないかでずいぶん違ってくる。それでも踏み込んだ迷宮があまりにも深く、どうにも手に負えない場合には、施設や病院へ移行するかもしれないが、全滅してゲームオーバーするよりもずっと良いはずだ。
そうして最後のボスは・・・ラスボスは・・・看取りってことになるのかな。
私は介護という名の冒険を始めてまだ4年。戦闘にはだいぶ慣れてきたけど、これからもっともっと敵が強くなることを知っている。知っているからこそ、楽しみたいと思う。そして強くなりたいと思う。今のうちになるべくレベルアップをし、スキルを身につけ、頼もしい味方も探して。強い強い敵と戦えるための力をつけたいと思う。・・・できるかどうかはしらないけど。
勇者たちよ、一緒にがんばろう!
コメント
アハハ!!!
おもしろーい!!
はじめまして
私も介護という名の冒険中、7年目です。
介護という名の冒険のゲームなんだ!!
本当に考え方ひとつなんですね~
だださんって楽しい!!
お陰で、私も在宅介護が楽しくなってきた・・・かな?
いつも素敵なブログをありがとうございます!!
ウィーンに行く前から読者でした。
こちらこそ、読んで頂いてありがとうございます!
ちょうどドラゴンクエストがやりたいなーって思ってた時期だったので書いてみました。
何事も考え方ひとつ、呼び方ひとつで雰囲気が変わるもの。
言葉ってある種の魔法ですね。
「攻略」「ゲーム」という言葉を与えてくださったtomoさんに感謝です!
まさしく!
さすがだださんの表現能力!
まだ8bitの世界でウロウロしているtomoです。
ほんとこうやって考えると何とかなるんだと思います。
私も旅が好きで、色んなところに行って色んなところを見てきました。
暑い暑いマレーシアでリハビリパンツを両手に抱えたオッサンがとぼとぼ歩いていた場面を見た時は思わず「頑張れ!」と言ってしまったのを思い出しました。
介護だけではなく、世界中の勇者たちがそれぞれのフィールドで険しい道を進んでいるんだと思うと後ろ向きになることはあまりありません。
凹むことはたくさんありますが…
今はダメ父の料理のレベルアップの呪文を知りたいです。因みにカレーと炒め物しか出来ません。
割と手強い敵です。
何かおすすめアイディアをお持ちであればご教授ください。
おお、tomoさんありがとうございます!
tomoさんも旅人だったのですね。
それにしてもマレーシアでリハパンは…蒸れそうですね…
>介護だけではなく、世界中の勇者たちがそれぞれのフィールドで険しい道を進んでいるんだと思うと後ろ向きになることはあまりありません。
とっても同感です。
この世界はとっても広くて美しく、私たちは全員がそれぞれの物語の主人公なのですよね。
料理のレベルアップの呪文ですか…私も知りたいです…
うちのオヤジは何冊か料理本(初心者用・おっさん用など)を借りてきて、それで頑張っていました。
でも図書館の本なので、返しちゃったらもう作れませんが(笑)
「昼夜逆転が出た」
「せん妄が止まらない」
「雨の日におシモ失敗 洗濯山盛り」
「もうやめて!介護人のライフはゼロよ!!」とか
「介護人よ、倒れてしまうとは何事だ」の繰り返しだったような(笑)
で、同胞同志の励ましや慰めという復活の呪文で、なけなしのライフがちょっとだけ復活するという。
ラスボスは「己の心」か「絶望(に見えるもの)」かも。
看取りは多分、ゲームクリアなのでは。
POTEさん、毎日お疲れ様です。
相変わらずハードですね!
>「介護人よ、倒れてしまうとは何事だ」の繰り返しだったような(笑)
もう何回も何回も死んでは復活を繰り返していらっしゃるのですね(笑)
回復役の方がいらっしゃってよかったです。
>ラスボスは「己の心」か「絶望(に見えるもの)」かも。
そうですね。
きっとそれが一番の強敵。
でも最初から最後までつきまとってきそうだから、毒か呪いの類でもいいかも。
>看取りは多分、ゲームクリアなのでは。
なるほど!
だださん、こんにちは。いつも、楽しみに読ませていただいています。
だださんのブログは人生を楽しむヒントが沢山書かれていて、元気づけてもらえます。
私は最近『ゲームクリア』を経験しました。もう一度ゲームに戻りたいと思ってもそれはもう出来ません。気を取り直して新たな『冒険』に向かいつつあります。
すみえさん、こんにちは!
お越し下さりありがとうございます!
すみえさんはラスボスを倒してゲームクリアに至ったのですね。
本当にお疲れ様でした。
>もう一度ゲームに戻りたいと思ってもそれはもう出来ません。
リセットのきかない冒険なのですね…心しておきます。
すみえさんのこれからの冒険が楽しいものとなりますように!