「1段だから登れるでしょう」

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神戸へ行ったこの2日間で、母をつれて3度もタクシーに乗った。介護タクシーではない、一般のタクシーだ。ウィーン旅行のためにだいぶ練習をしたから母の普通車の乗り降りは問題ない。タクシーのトランクに詰め込むために、リクライニング車椅子をバラバラに解体するのも早くなった。

が!
私たちを大きく阻んだものがあった。
歩道である。

タクシーのドアを開けたら、歩道の段差があったのだ。駅前なせいか、ちょっと高めの歩道だった。段差ののぼり口はどこにあるか分からないほど遠い。

運転手さんは車椅子を歩道の上に置き、こう言った。
「1段だから登れるでしょう」

・・・1段だって登れません。

運転手さんがどういう理由で「1段くらい」と思ったのかはわからない。ハッキリ「無理」って言うべきだったのかもしれない。が、混雑した駅前では他に停める場所もなかったので
「やってみます」
と言ってしまった。なんとかなるだろうと思ってしまったのだ。

母を車から降ろし、腰を支えて立ち上がらせる。左半身をひきずって段差を登ろうと・・・登ろうと・・・登ろうと・・・
「うりゃあああああ!」
関取がまわしを掴んでぶん投げる要領で母を担ぎあげようとした。でもぜんぜん無理だった・・・たった20センチの段差が持ち上がらない。自分と同じ体重の人を持ち上げるのって難しいな! まだまだ修行が足らへんわ!

結局、運転手さんが大慌てですっとんできて手伝ってくれた。ぜいぜい言いながら
「すみません、駅の反対側に停めるべきでした、あっち側なら段差なかったのに」
と言ってくれた。
「いやこっちこそすみません」
互いに謝りながら、フラットな所もあったんかい!と思った。

まあ結局、なんとかなったからいいや。
運転手さんはこの先、理由なく
「一段だから登れるでしょう」
とは言わないであろう。終わりよければすべてよし!

そして。
猫たち。
生まれて初めてのお留守番を体験したシシィ。

最初に帰宅したオヤジが玄関ドアを開けるなり
「おかえりいいいい!」
「ごはんちょうだいニャー!」
ものすごい勢いでお出迎えをしてくれたという。
私が帰ったときも
「だだー!だだー!だだー!」
「ごはんごはんごはんニャー!」
スリスリごろごろペロペロしてくれた。

家の中はとくに荒らされた様子もなく、トイレからウンチが飛び出していることもなかった。思ったより良い子にしてたみたい。2匹だと心強いよね。サンジ兄ちゃんが「大丈夫だよ、明日には帰ってくるよ、いつもそうだから」って励ましてくれたのかな。夜は仲良くくっついて眠ったのかな。

コメント

  1. ちょっとご無沙汰。まとめ読みさせて頂きました。
    段差に気合を拒否されて、お疲れさまでした。
    だださんのどこかに故障が起こりでもしたら、と読みながら
    ヒヤヒヤしましたが、運転手さんが出てきてくれて
    無事に過ぎ、ほっとしました。

    さすが元カメラ小僧さん、いや小嬢さん、神戸の夜景から夜の
    空気の爽やかさが伝わってくるようですよ。
    姫さまお利口にお留守番は、やはりサンちゃんという頼もしい
    兄貴分がいれくれてこそなのでしょうね。

    • はい、段差に気合いを拒否されました(笑)
      ああいうとき素直に「手伝って」って言えないんですよ、私シャイなんで!
      そういえば昔、車椅子担いで階段にトライしてぎっくり腰になったことを今更ですが思い出しました。
      無理したら駄目ですねえ、気を付けます。

      お留守番、シシィ一人なら家が壊れるほど暴れたでしょうか。サンジは頼りないけど元野良ですし、留守番の経験値も積んでいるので、大丈夫だよって言ってあげていたと思います。

  2. お疲れさまでした。
    いやいや、自分より10キロ以上軽い人でも持ち上げるのは大変です。
    ベッドに乗せ損ねたり、トイレの隙間に座り込んだり、いろいろ思い出しました。
    お身体ご自愛ください😸

    • トイレの隙間は辛そう…!
      私は妹(36kg)ならお姫様だっこで走れるんですが、50キロ台の母はぜんぜん無理でした。
      何か方法はあると思うので、また研究してみようと思います(笑)
      いざという時のために…。