母は毎日猫をだっこして眠るが、実は犬派である。
子供の頃からずっと犬がいる生活を送ってきたそうで
「死ぬまでにもう一度犬と一緒に暮らしたい」
と言う。
私も犬は大好きだし、母の希望を叶えてあげたい。
毎朝、犬の散歩にいくことにちょっとあこがれている。
でも・・・。
今、動物愛護センターのサイトを見てもだいたい猫ばっかりなんだよね。
それに多分、我が家は審査でハネられる気がする。
猫が2匹もいるし、私が倒れたら世話する人がいないから。
猫たちとの住み分けも問題だし、なかなか難しいように思う。
(生まれてこのかた犬を見たことがないシシィさん)
仕方がないので、私は近頃、犬のかわりにオヤジを散歩させている。
オヤジが出席したいと言った同窓会まであと3週間。
なんとかもうちょっと歩けるようにならないかと思って。
少しでも体力をつけられないかと思って。
毎朝、散歩をさせている。
オヤジもはじめのうちは
「行きたくない」
とぶうぶう言っていたが、
「同窓会に行くんでしょう、あんまりヘロヘロだとみっともないよ」
とハッパをかけたら歩きだした。
散歩といっても朝の忙しい時間帯(オヤジが一番元気な時間)なので、距離はごく短い。
私ひとりなら30秒だろう。
そこをオヤジは、杖をついて、えっちらおっちら、歩いてゆく。
やる気を引き出すために私は言った。
「タイムを計ろう!」
最初の日は13分だった。
2日目は11分。
3日目は10分。
どんどん早くなっていくではないか。
「すごいやん!」
私はほめちぎった。
「やればできるやん!」
オヤジは嬉しそうに、はずかしそうに笑った。
タイムが上がっている理由は、主に2つ。
毎日同じ道を歩くから、ためらいがなくなる。
余計な不安がないから足が出やすいのだ。
もう一つは、タバコである。
オヤジは30年も前からドクターストップがでているにもかかわらずタバコを止めない。
「死ぬまでタバコをあきらめない」
と誓いをたてている。
だがタバコを吸うと、とたんに腰が抜けたみたいになり、足がヨロヨロになる。
一時的な心虚血?だと主治医には言われている。
逆に言うと、タバコを吸わなければ早く歩けるのだ。
オヤジもそれがわかったようで、今日は朝いちばんのタバコの前に散歩に行った。
すると!
なんと!
7分40秒!
「新記録だ!」
オヤジは誇った。
「やったあ!」
やったあ、じゃないよ。
タバコ、やめろよ。
コメント
こんばんは。
たばこやめろー! 賛成です。
太文字に笑ってしまいましたが、その通り。
これを機にやめられると良いですよね。
火の心配も無くなるし臭いも無くなるし、歩けるようになる。
タバコをやめさせるのを諦めたら、母がさっさと死にました。好きなだけ吸わせて動脈瘤が破裂したか心不全かで。本人が望んだ死に方でしたが………。
忙しい朝の努力が同窓会で実りますように🤞
ねー、タバコやめたら解決できることいっぱいあるのに
「死んでもいいから吸いたい」
って、バカですよねーほんとに笑
QOLをとるか身体をとるかという選択で、望み通りぽっくり逝けるのならいいんですが、今時そんな簡単に死ねませんからね・・・