新しいスリッパ

昨日、新しいスリッパを買った。
いつもよりちょっとだけいいやつを買った。
温かくて履き心地のいいスリッパ。

なのに。
ものの数時間でオヤジの黄色い池を踏んでしまった。

なんでこんなところにオシッコ池が！
トイレはもうちょっと先だぞ！

まあ、間に合わなかったのであろう。
それとも早めに脱いじゃったのか。

無性に腹が立ってきた。
怒っても仕方がないのもわかっているけれど。

スリッパを洗って廊下を拭いて、それから自分自身を洗うために近所のスーパー銭湯に行ってきた。（リフォーム工事中でお風呂が使えないのです）

15分で上がってソフトクリーム食べてたら虚無になった。
仕事で疲れて帰ってきて、買ったばかりのスリッパでオシッコ池にはまったのである。
家に帰ったら次は母のトイレ介助が待っている。
そう思ったら虚無にもなる。

虚無のまま帰ったら、オヤジはまた新たなオシッコ池を制作していた。
今度は自分で片付けさせた。

オヤジはパンツを替えるのも大変で、20分くらいかかる。
その間に出ちゃうときもある。
パンツを替えるのが億劫で、汚いままでいることもある。
放っておくとオーバーフローしてポロシャツのお腹までまで濡れたりもする。
母のトイレ介助やおむつ交換のほうがずっと楽だ。

オヤジはテレビのリモコン操作やファンヒーターのスイッチも怪しくなってきた。
カップ麺を作るのにも失敗するときがある。
どんどんできないことが増えてくる。

認知症の親が変わっていく様を見ると、介護する子は悲しい気持ちになるものだと聞く。
「昔はあんなにしっかりしていたのに」
と。
けれど私は悲しいとは思わない。
ちっとも悲しくない。
だって、オヤジはもともと「できない人」だから！
しっかりしてるオヤジなんて生まれてこの方見たことがない。
手のかかる人が、さらに手がかかるようになってきただけのこと。
ただただ、ひたすら、ものすごく、めんどうくさい・・・。