猫寝

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朝から二度寝してやっと起きた母が変なことを言い出した。
「ねえ、『二度寝』っていうけど、それ以上寝るのはなんていうの?三度寝?」
まだ寝るの?
そんなに寝なくていいよ。
「しようよ、三度寝! 私だんだん猫になってきた気がする。あ、やっぱり三度寝じゃなくて、『猫寝』がいいかなあ」

朝起きたらいつもコレが見えます

のんきに猫寝しているヒマはない。
今日はバイオリンを弾こうと決めていた。
先日、親戚の大叔父さんが亡くなったからだ。
母が子供の頃に親しくしていた人だった。
「このあいだショートで泊まってるとき、叔父さんと一緒にウィーンに行く夢を見たの。いつか一緒にウィーンに行きたいですねって話してたから。それで帰ってきたら訃報を聞かされて、ねえ。まだ信じられないわ」

だから母はバイオリンを弾きたがった。
コロナでお葬式には行けないけど、まだそのへんを漂っているであろう叔父さんに聞いてもらうんだと弾きたがった。
それで2人バイオリンで「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を弾いた。
私はここのところ忙しくて、バイオリンに触るのも2か月ぶりだったから、それはもうだいぶ酷い音程だった・・・。
「あんた、へたやねー!」
なんて言いながら母は楽しそうだったから、まあ、いいか。