オヤジの昼ごはん

オヤジは食いしん坊である。
若い頃と変わらないほどよく食べる。
お菓子も果物も食べまくる。

我が家は朝と夜は家族そろって食べるが、昼ごはんは別々だ。
昼はとにかく忙しい。
私は仕事の合間に一瞬だけ帰宅してカップ麺をかきこんだり、車の中でパンをかじる。
母にはお茶漬けと冷凍食品なんかを出す。

問題はオヤジである。
オヤジは
「昨日の残りなんて貧乏臭い」
と言ってのける。
高校生の頃
「お父さんのぶんも」
とお弁当を作ってあげたら開けもせずに捨てられたことがある。
「明日は俺も弁当がほしい」
と言われて作ったときでさえ、やっぱり捨てられた。
そういう所は今も変わらないから、また作って捨てられるのもバカバカしい。

放ったらかしていたら、要介護状態になってからもしばらくは自分でラーメンを作っていた。
だけどそれが難しくなって。
火を使うのが危なくなって。
袋麺からカップ麺に変わった。
電子レンジもなんとか使えるので、冷凍パスタをチンして食べるようになった。
私が在宅のときは冷凍餃子をフライパンで温めることにも挑戦していた。

それがこの春までの話で。

今はまた、できなくなっちゃって。
気がついたら昼ごはんを抜いている、ということが増えてきた。
食事を用意するのが面倒になっちゃったみたい。
完全に盛り付けて箸を添えて
「ハイお食べー」
と皿を出してやらないと食べなくなってきたのだ。
カップ麺でさえ
「なんか面倒い」
という理由で食べない。
もしかしたら粉末スープの小袋がうまく開けられないのかも。

こういう場合、宅配弁当を手配すれば済む話だが、
「プラスチックの容器に入ったメシなんて食えるか！」
とワタミのお弁当をたった一回で却下したオヤジである。
お金のムダでしかない。

仕方がないから、私が仕事の合間に帰宅して
「ハイお食べー」
と餌やりをしていたが、金曜だけはどうしても帰れない。
前日のうちにスーパーでざる蕎麦などすぐ食べられるものを買っておき、職場から電話をかけて
「冷蔵庫にざる蕎麦があるからお食べー」
と言うと、なんとか食べる。

だが前日にどうしても調達できないこともある。
今日はオヤジの大嫌いな『昨夜の残り』しかなかった。
昼休みに電話をかけて
「昨日の残りがあるからお食べー」
と言ってみたら
「うん」
と返事はしたが、やっぱりほとんど食べてない。
「チンしたら固くなった」
と言っていたので、電子レンジがうまく使えなかったのかもしれない。もしくは、チンしたことを忘れて放置してたら固くなったパターンかも。
ヘルパーさんを頼むという手もあるが、汚い台所に入ってもらうのも気をつかうしなあ。

でも、まあ、考えてみれば、太ってるから一日２食で十分な気がするよ・・・。

本日の猫写真。
サンジの通院用ネットに自ら入ってみたシシィさん。