ショートステイの前日は優しくする

母はショートステイが苦手だ。
デイと違ってつまんないそうだ。
退屈だから本を読んでいると
「次々に人がきて『なに読んでるの？』とか聞いてきて集中できない」
それに夜は
「隣の部屋の人がうるさくて眠れない」
と、ぼやいてばかりいる。

桔梗草みつけた

それでも、ときどきは行ってもらわねば困る。
私の研修の都合で明日から１泊してもらうことになった。
「１泊だけだからね！２泊はイヤだからね！ちゃんと迎えに来てよ！」
・・・はいはい。

嫌がるのを無理に連れていくわけだから気の毒だ。
明日はお泊りか、などと呟きながらしょんぼりしている。
だからショートステイの前の日はできるだけ優しくするように心がける。
いつもはほったらかしだから、今日くらいはできるだけ相手をして、話しかけてあげよう。

おやつにケーキを買ってこよう。
晩ごはんは何がいい？好きなもの作るよ。
一緒にドラマを見よう！
２人バイオリン、弾く？
今日はお母さんがやりたいことに付き合うよ。

・・・・ぜえ、ぜえ、ぜえ。
一応仕事もあるし、たまってる家事もあるし、わりと大変である。
食べ慣れないケーキで胸焼けしている私をよそに、母は言う。

「コロナでどこに行けなくてもね、ケーキ食べてドラマ見て、本を読んでたらすごく幸せ！」

そっかー。
よかったなー。
幸せってけっこう安いなー。

これでもかと丸くなる

母の隣ではシシィさんが気持ちよさそうに丸くなっている。
明日の晩はきっと
「お母さんがいないニャー！」
と探しまわるんだろうな。