不眠症の映画鑑賞

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ブラック企業にいた頃、ストレスで不眠症になったことがあった。
何ヶ月もろくに眠れない日々がつづく。
だが唯一、ぐっすり眠れる場所があった。
それは劇場だ。
宝塚大劇場の天井桟敷は、子供の頃から慣れ親しんだ所で、そこに座ると芯からリラックスして眠れるのだ。(公演中なのに申し訳ない)

だから先月、アトピーでぜんぜん眠れなかったとき、宝塚に行きたいなあと思った。
あそこに行けばきっと眠れるのに。
無条件で眠れるのに!

でも無理だから昨日、映画館に行った。
『鬼滅の刃』。
・・・残念ながらちっとも眠れなかった。おもしろすぎて。

映画館はガラガラだった。
100人くらい入れそうな劇場に観客はたった7人!
経営が危ぶまれるが、このご時世、過疎=安全安心である。
オヤジにも映画を見せてあげよう。
なにしろオヤジは
「炭治郎柄のマスクがほしい」
と言い、日輪刀DX(=キャラクター玩具)にも憧れの眼差しを向けている、頭脳は認知症、心は小学生男子の爺なのである。
「お父さん、一人で映画、見に行ける?」
と尋ねたら
「行ける!」
と即答。
「ちょ、ちょっと、心細いけど」
と付け足した。

心細いのも無理はない。
コロナ自粛で脳みそも体もすっかり弱っているからだ。
それでも行きたい、映画を見たいとオヤジは言った。

もちろんチケットは私が用意する。
送り迎えもする。
案内係のお姉さんに席を教えてもらうように頼んでおく。
オヤジはただ座って映画を見るだけだ。

・・・座って映画を見るだけ。
なのだけど。
「粗相をしたらどうしよう!」
2時間の映画だ。
オヤジの状態を考えると、途中で抜けてトイレに行くのは不可能だろう。
リハパンは履いているが、もしオーバーフローしたら?
もしポジションが悪かったら?
とんでもないことになる。

どうしよう。
やっぱりついて行けばよかった。
私は仕事をしながらずっと後悔していた。心配していた。
電話がかかってくるんじゃないかとドキドキしていた。

でも杞憂だった。
終演時間ちょうどに迎えにいくと、オヤジは黙々と歩いてきて、私をスルーし、黙々とトイレに入っていった。
だいぶ我慢していたらしい。
えらかった。

ねぼけサンジ

オヤジは現在、区分変更を申請中。
もうじき結果が出るはずだ。
ランクアップできるかな。

要支援でも。
要介護でも。
不眠症でも。
コロナ渦でも。
大劇場に行けなくても。
生きていくために楽しみを探さないといけない。
映画はとても楽しかった。
(私は伊之助が好きです。)

コメント

  1. お父様、映画おひとりで観られたんですね。
    だださんは、ひやひやだったようですが…
    読んでいて「おぉ・・すごい・・!」と
    思いました。

    私は、ついつい心配が勝ちすぎて
    動けないことが多くて。
    同じ状況だとトイレが心配すぎて
    やっぱり…やめとこう…となっていたはず…。

    昔、父を映画に連れていったことありましたが
    そういえば、ほぼ歩けない父で
    車椅子移動だったので…
    万一があってもなんとかなるかという
    かんじだったのを思い出しました
    (更に、車椅子のシートの上に
    フラットの使い捨て尿シート
    を敷いてたり…(^_^;)心配しすぎ…)

    話題の映画、楽しめてなによりです。

    だださん、宝塚よく観られてたんですね。
    リラックスしてよく寝れるって…笑。
    まるで劇場がおうちみたいですね。
    素敵なエピソードです。

    私も学生時代は宝塚好きな友人が
    誘ってくれて、ちょこちょこ程度ですが観に
    いっていたりで…。いい空間ですよね。

    当時は…たしか杜けあきさんとか
    涼風真世さん?だったかな。。とか
    が、印象に残っています。

    あと、トップになる少し前だったか
    天海祐希さんがかなりかっこよさと
    柔軟な演技?なかんじで…
    「この人すごいかも…」とお気に入りでした。

    • 車椅子の座席にシート敷くの、やりますよ!
      飛行機とか長時間移動のときも絶対に必要ですし。
      車椅子で逃げない人だとかえって大丈夫なんですけど、オヤジのほうが心配は多いです。
      社会人生活から間がないせいか、幸い、人前だとわりと一丁前の言動ができたようです。
      でもやっぱり心配すぎるので次回はないかもしれません(笑)。

      宝塚近くに住んでるのでほぼ毎週通ってました。
      学校帰りに寄り道して、劇場前で友達とたむろして・・・高校生のゲーセンみたいな感覚ですかね。
      昔はチケットが安かったですし。
      天海さんも涼風さんも杜けあきさんも好きでした!
      青春の思い出ですね。