職場のデイサービスでお面を作った。
 鬼のお面。
 節分の飾りだ。
鬼の顔は、型紙を用意して切り貼りするのだけど、
 「どれが目?」
 「鼻はどこ?」
 「これは一体何なの?ヒゲ?」
 「・・・口ですね」
 皆さんいろいろ動かして、個性的な鬼を作る。
 まるで福笑いである。
 一つとして同じ顔がない。
 イケメンの鬼、かわいい鬼、真面目そうな鬼、優しい鬼。
 すごい!
 皆さんお上手ですね!
 Aさんのこの青鬼は?
 「鼻水だしてる鬼」
 お、おう・・・。
 鼻水ですかい・・・。
 高齢者デイサービスにはときに天才が現れると思った。
「ええもん、できた!」
 「おもしろいのができたね!」
 完成したお面を抱えて満面の笑みを浮かべる利用者さんたち。
 今日も1日楽しかった。
 そう思ってもらえれば私たちの仕事は成功だ。
 たとえ、すぐに忘れてしまうにしても。
隠れてたシシィ
「でもさー、経営かなりキツキツなのよねー」
 ボスがいつも唸っている。
 コロナに関係なく地域密着型デイサービスはほとんど儲けが出ない。
 もしもデイが潰れたら、せっかく楽しみに来てくださる利用者さんの行き場がなくなる。
 「私は108才まで生きるからヨロシクね!」
 にこにこ笑う利用者さんのために頑張らねばならぬ。
 「そうだよ、私ももう少ししたら利用者さんになるんだからね!」
 とボスも笑う。
 「私も!」
 「私も!」
 先輩たちが次々に言う。
 「そしたらだださん、面倒みてね!」
 えー。
 えー。
 えー・・・。