自虐は関西人の武器

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私が働くデイサービスの、本日のレクリエーションは
「うちわに絵を描く」
というものだった。
ちょっと特殊な方法で描くこともあって、利用者のAさんはちょっと尻込みをした様子。
「今日は遠慮しておくわ」
とおっしゃった。
「もっと上手な人に描いてもらって。私は絵心がないから」

絵心がない・・・だと?

私は物心ついてこの方、いっぺんだって絵をほめられたことがない。
むしろ
「これは何を描いたの?」
と質問されてばかりいた。
図工の時間に『夢のお家を描きましょう』というテーマが与えられ、そのとおりに描いたにもかかわらず
「これは何?」
ときかれたもんだから
「家だろ!」
あんたが家を描けっていうたんやろ!
と、幼心にツッコんだ記憶があるほどだ。

絵心のなさで私の右にでる人はこの世にいないと確信をもっている。
いるとしたら、我が母親くらいであろう。

よし。
私は思い切って絵筆をとった。
「気楽に描けばいいんですよ、見ててください。」

どりゃ!
おりゃ!
うりゃ!

「できた!」

私は花火を描いたつもりだったが、病気の鹿の糞にしか見えなかった。

絵をひと目見たAさんはもう、大爆笑。

「どうです、私くらい絵が下手な人はいないでしょう。 絵心がないってこういうことを言うんですよ!」

やけくそで妙な自慢をしたら、Aさんは気の毒に思ったのかアドバイスをくださった。

「ここにもうひとつ赤い円を描いて、こっちに黄色で線をたらして、枝垂れみたいにしたらどうかしら?」

それはすばらしい!
じゃあAさんが描いてください、私が描くとこんどは馬の糞みたいになるかもなんで!

「しかたないね」
Aさんは、笑いながら絵筆をとってくださった。

数分後、私がやらかした鹿の糞みたいな絵はみごとに隠され、うちわには美しい花火が咲きみだれることになった。Aさんは謙遜していたけれど、実はとっても絵がおじょうずだったのだ。みんなから絶賛され、Aさんは恥ずかしそうに笑っていた。

私は本当に不器用だから、先輩たちみたいに綺麗なお手伝いはできない。誘導もじょうずじゃないし、調子に乗せるのもうまくない。なんとか自分のやり方を見つけていかなければと思った

本日の猫写真。

仕事が終わった頃にやってきて、
「ご苦労さま。疲れたら私をモフモフしていいよ」
と労ってくれるミー先輩。あつい。

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