訪問介護の仕事っていろいろあるけど、一番楽ちんなのが「買い物」だ。
スーパーとかにおつかいに行くだけだから、なんか楽しいし。
制限時間は60分。
60分もあれば余裕でしょ！
利用者さん宅でメモとお金を預かり、買い物スタート！
・・・スタートと言いつつ出かけられないのが訪問介護の常である。
「あ、やっぱりアレもいるわ」
「アレはこういう商品でね、ラベルが赤で・・・」
「あ、やっぱりコレも買ってきてほしいんだけど」
「でね、コレの売り場は2階の・・・わかるかしら？もしわからなかったらね、お店の人にきいて」
わかります！！！！！
メモとお金をひったくるようにして家を出る。
これだけですでに10分経過。
まずはドラッグストアでケアシーツを買う。
・・・無い。なんでか知らないけど今日に限って売ってない！
店員さんに尋ねると
「それ何ですか？」
・・・あかん！
別の店へ行こう！
車をとばして別のドラッグストアへ。
・・・ここにも無い。なんでケアシーツ売ってないんだ！？店員さーん！
「ありますよ」
奥から出してきてくれた。
願わくば次からは店頭に置いておいてほしい。
次はイオンの専門店。
頼まれたものはすぐに見つかったんだけど、レジの人が・・・
「すみません不慣れで」
謝りながら先輩を呼びにいった。
呼ばれた先輩店員がまたマイペースな人で、客を待たせて新人教育を始めた。
「これは、こうで、ああで、こういう意味があるの。ハイやってみて」
今！？
今指導するの？
説明あとでよくない？
すみません、私めっちゃくそ急いでるんですが。
「申し訳ありません」
そう言いながらも指導は続いた・・・。
次は同じイオン内の百均だ。
百均って何がどこにあるか探すのに時間をくわれる。
セロファンテープってどこ？
どこなのー！？
もう時間ないのにーーー！
なんとかテープを買うと、エスカレーターなんか乗ってられないので階段を駆け下り、食料品売場までたどり着く。
ここで最後だ！
時計を見たらスタートからすでに45分が経過している。
・・・もうこれ無理っぽくない？
いや！
まだ諦めてはいけない！
あきらめたらそこで試合は終了だ！
行けえええええ！
本気モードにギアを換え、爆速で買い物をする。
「レトルトのおかゆ10個！」
「カップ麺10個！」
「餅１キロ！」
「ペットボトルの水5本！」
なんか多くない？
荷物が重くて走れないんですが？
ゼエゼエ息を切らせながら利用者さんちにゴールを決めたのが58分後だった。
「戻り・・・ました・・・」
かろうじて時間内に戻れたぞ！
玄関で倒れそうになっていると、気がついた。
パンパンに膨れ上がった燃えるゴミの袋に。
利用者さんが笑いながら
「今日はゴミの日だったんだけどね、出すの忘れちゃってえ」
えー・・・。
臭うなー・・・。
いや、もしかしたら、まだ回収車がきてないかも！
間に合うかも！
「行ってきます！」
ゴミ袋をひっつかんで階段を駆け下りる！
そこへ
♪ ラリラリラ～ ♪
のんびりしたメロディを流しながらゴミ回収車が走り出すのが見えた。
まさに今、ゴミを積み終わり、次の場所へ向かおうとしている！
「待ってーーーー！」
恥ずかしげもなく大声をあげる。
「これもお願いしまーーす！」
オムツがぎっしり詰まった重たいゴミ袋を掲げると、とおじさんは快くゴミを受け取ってくれた。
ぎりぎり・・・62分。
間に合ってないけど、間に合ったことに・・・
保護色なミー先輩
買い物って案外忙しいねー。