冬に閉じこめられた人たち

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最近、ものすごく眠い。
春のせいだろうか。
桜の花から、誘眠物質でも出てるんじゃないだろうか?

うちの近所の桜もとうとう五分咲きになった。世間は春爛漫だ。
なのに。
「いつになったら暖かくなるんだろう」
と言っている人たちがいる。
高齢で家から出られなくなった人たちだ。

外に出ないから春が来たこともわからない。
カーテンを閉ざしているから陽の光も届かない。
閉めきって暗い室内は、外よりもずっとずっと寒い。
まるで冬を閉じ込めたみたいいに。
・・・外では桜が咲いてますよ。
と声をかけると、
「年をとると花なんかどうでもよくなるのよ。もう十分見つくしたわ」
そう言って部屋に閉じこもる。

もちろん体がつらいのだ。
しんどくて、何もかもが億劫なのだろう。
でも話をきいてみると
「歩行器(シルバーカー)を押して出歩くなんて恥ずかしい」
「車椅子だからもう外出はできない」
そんな思いこみも少しはあるようだった。

重大な病気がなくても、家に閉じこもっていれば体は弱っていく。歩かなければ筋力は衰えるし、日光を浴びなければ鬱傾向は進む。
「何をする気力もなくなるの。それが年をとるってことよ」
あきらめきった声でその人は言った。
「せめて家族がそばにいてくれたら、少しは違うのかもしれないけど・・・一人じゃ何をしても楽しくないでしょ」
独り言のように付け加えて。
なんだかとても悲しくなった。

テレビを見ていると日本中が春に浮かれているように思えるけれど、冬に閉じ込められたまま、桜を見ることもない人たちが、この日本には無数に存在する。

本日の猫写真。

猫たちの春の楽しみ方。

母がデイサービスで作ってきたフラワーアレンジの作品。材料費をちゃんと払って、先生に習いながら活けて、意気揚々と持って帰って…ほんの一瞬、目を離したらこれですよ。ちょっとくらい飾らせてよー!

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