めちゃくちゃ動揺した話

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やれやれ、一日の仕事が無事に終わった。
訪問介護を終えて帰ろうとしたとき、利用者さんが
「あのな…」
と話し始めた。
「実はこのあいだから寝られへんねん」
まずい。
帰れなくなったぞ。

利用者さんがヘルパーを引き止めようと長話を始めるのはよくあること。
またいつもの愚痴だろうと思ってた。

ところが話は思いがけないものだった。

「一昨日の夜、トイレに起きたとき。
1階の電気がつけっぱなしなことに気がついてん。
せやから階段を下りていってん。
ほんでリビングの電気を消して、さあもう一回寝ましょって思ったんやけどな。
そのとき、音がしてん、そこから」

・・・そこから。
と、利用者さんが指さしたのは、リビングの隣の部屋だ。
雨戸もなにも締め切って、ドアが開いているのを見たことがない。
いわゆる『開かずの間』。

「その部屋から、誰もいないのに、ガタガタ! って」

この利用者さんに認知症はないし、妄想もみない、クリアな方だ。
むしろ普段は冷静な方だ。
それでも一人暮らしをしていると、寂しくて不安な気持ちになるだろう。
心細さが幻聴もうみだすだろう。
とくに今はコロナで不安が大きくなっている、その表れなのかもしれない。

大丈夫ですよ。
きっと気のせいか、虫か、家鳴りですよ(ネズミはいない)。

「私もそう思ってんけどな。
昨日また、トイレに起きたら1階の電気がつけっぱなしでな。
おかしいなあ、ゆうべは気をつけて絶対に消したはずなのに。確認したのに!
おかしいなあ、って思いながら階段下りたんや。

そしたらな。
また。
ガタガタ…って!」

いやいや、大丈夫ですって。
消さなくちゃ、消さなくちゃ、って思ってたら2回スイッチを押してつけちゃったりするもんですよ。よくあることですよ。
それに泥棒だったらわざわざ電気つけないでしょう?

「泥棒だったら、ええねんけどな。泥棒じゃないものだったら、どうしよう」
利用者さんは本気で怯えた目をしている。
「なあヘルパーさん、どうしたらいい?」

え、どうって、えっと、あの部屋には何があるんですか?

「仏壇」

・・・仏・・・壇・・・。

動揺のあまり絶句しちゃったぞ?
これはどう答えるのが正解なんだろう。
「お化けなんてないさ♪ 」
とか歌ったらいい?
それとも寺生まれのTさん呼ぶ? お祓いしてもらう?
ちなみに私はお化けはいる派だよ!

だがヘルパーは動揺を見せてはいけないのである。
利用者さんがさらに怯えてしまうから。
プロの接客業者介護士たるもの、何があっても落ち着いて対処しなければならぬ!
「うーん」
動揺を隠しつつ、しばらく考えた末にコウモリが入り込んだせいにしておいた。

真実は知りません。
今夜はコウモリが出ませんように。

本日の猫写真。

すやすや眠ってたシシィさん。
この直後、母に叩き起こされました。

コメント

  1. ワタシなら「新型コロナの事やら何やらで、利用者様が心細く思っておられるのを心配して、『大丈夫だよ、私達が見守っているよ』って伝えてくださってるんですよ。こちらがわかるように伝える手段がなくて、照明つけたり音立てたりしただけだと思いますよ」な感じですかね。
    我が家も義父を送って8年。その母上も父上も過去帳で享保時代のご先祖もおられる仏壇がある仏間が今の婆さまの部屋ですが、ワタシ霊感ゼロですが、たーまーに、説明出来ない事はあります。

    • ありがとうございます。
      POTEさん家には由緒あるお仏壇があるのですね。
      でもやっぱり由緒あるものは説明できないことが起こっちゃうんですねー!怖いですねー!
      って笑ってられるくらいならいいんですが、すでにめっちゃ怯えてる人って、たとえそれが愛する家族でも怖がるんですよ。。。
      「おとーさん出てこんといてー!」
      ってな具合で…
      幽霊も迷惑なものです。

  2. だださん、お疲れ様です‼️
    サンジくん、お母様の体調は如何ですか⁉️
    さて、訪問あるあるですね〰️‼️
    ちなみに私も、お化けは、いる派ですよ‼️ (笑)
    先日訪問した方は、軽い認知症がおありで、伺うと「今日も(亡くなった)母親が来て、ご飯に洗濯、掃除もしてくれたのよー!」と。嬉しそう。で、昨日は「今日は、(亡くなった)叔母も来てくれて、ご飯作ってくれたのよー!」
    ええ、もう最近は、何を言われても、動揺しませんの!職業病ですかね(笑)
    でも、だださんの件は、ドキドキしますね!コウモリ?!出ませんように!
    私の一番怖かったのは、特養の夜勤中(お盆)、お坊さんの部屋から、丑三つ時に般若心経が聞こえてきた事です。怖くて、相方と訪室すると(1人では無理)…ベッドに正座で合掌し、唱えてられました。聞けば、「今、檀家の者が旅立ちの挨拶に来られたので…」との事…こっちは血の気引きまくり。強引に止めるのも何ですし…意を決して、あの、では出来るだけ小さなお声で、とお願いするのが精一杯。あれは本当に怖かった〰️😵💧

    • こんにちは!
      おかげさまで母もサンジも順調に回復しております。
      ありがとうございます。

      あるあるなんですかねえ、怖いのやだなあ(笑)
      そういえばうちの母も高次脳が酷かった頃はよくホラーな妄想を見ていました。
      レビーの方とかはよく見ておられますよね。
      クリアな方に言われるとめっちゃ怖いです。

      ・・・って、夜中のお経!
      怖すぎじゃないですか!
      耳なし芳一の世界かと思いましたよ。
      挨拶に来てたってもう、迷惑すぎ(笑)
      怖い話は施設さんのほうが多そうですね。

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