呪われている

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我が家には呪いがかけられている。
料理がヘタという呪いである。

呪いは数十年前までさかのぼる。
母方の先祖の家は、代々お金持ちだった。
そのせいか曾祖母は料理なんかまったく一度もしなかった。

そんな人に育てられた祖母は、やっぱり料理が苦手だった。昔は女中さんがいたのでそれでもよかったのだが、身代が傾いてくるとそうもいかない。教えてくれる人もなく、祖母は、見様見真似で料理をしていたという。

料理が苦手っていうと、焦がしちゃったーとか、塩を入れすぎたー、とか想像するが、祖母の料理ヘタはそれどころじゃない。次元が違う。
叔母いわく
「ダシというものが存在しなかった」
ダシをとるという概念がなかったというのだ。

でも一体、ダシなしでどうやって料理をしたのだろう?
ダシのない味噌汁?
ダシのない和食?
そんなのあり得るの?
「あるのよ! まずかったわよー!」
壮絶である。

そんな祖母に育てられたのだから母だっておそろしく料理が下手である。
ダシの存在は結婚してから姑に教えてもらったらしい。努力はしたのだ。
それでも、私と妹がどんなに首をひねっても
「おふくろの味」
というものが思い浮かばない。
母の料理で「これはおいしかった」と思い出してあげられる料理が本当にひとつもないのだ。
わりと不幸である。

・・・それだから私も。
料理、ダメなんだ。
ダシとか苦手なんだよ。
味見をしても、さっぱりわからないんだよ。
呪われた家系なんだから仕方ないじゃない?
晩ごはんがスーパーの売れ残り弁当でどこが悪い?
私が作るよりずっと美味しいんだもん!

ばてばてにゃんこ

このあいだネット上でポテサラ論争みたいな話があったけど、専業主婦なんてほとんどいない時代なんだから、いいかげん「手作り神話」は消えてもいいと思う。

アジアだと外食が基本だから(コロナのせいで変ってきたらしいけど)、こんなに毎日「作らなきゃ」って思わずにすむんだろうな。ヘルパーに調理の仕事がまわってくることもないんだろうな…。

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