昨夜、オヤジはみっともない大洪水を引きおこした。
ただの悪酔いだとは思うんだけど、薬を減らしたばかりだし、気になるので、朝から看護師さんに来てもらった。
オヤジは朝食もとらずに寝こけていたが、看護師さんがくると自力で起き上がった。
血圧もまずまずだ。
いろいろチェックしたあと、
「便が溜まってるせいかもしれませんねえ」
と看護師さんは言った。
「浣腸してみましょうか」
オヤジは素頓狂な声をあげた。
「カンチョー!」
ほぼ悲鳴だった。
オヤジはシャイだし、看護師さんは若くてかわいい人だから、そりゃあ嫌がるに決まっている。
だがオヤジに拒否権はない。
昨夜、私はカーペットを剥がして洗濯し、ゲロまみれの電気カーペットを消毒し、ぐちょぐちょになった超臭いソファを外に出した。寝ながら吐いたら窒息の恐れがあるので、何度も何度も様子をうかがいつつ、やっと自分のベッドに入れたのは3時頃だった。
オヤジはごめんもありがとうも言わない人だし、別にそれを期待してるわけじゃないけど、こうなったらからに言わせてもらう。
「昨日、カーペットとソファを駄目にした罰だ、おとなしく浣腸してもらえー!」
オヤジは顔に絶望を浮かべ、看護師さんは腕まくりをした。
さて、午後からは新しいソファを買いに行こう。
この際だから高齢者向けのソファを探そう。
オヤジが安全に使えるソファ。
・・・高齢者向けのソファとはどんなものだろう?
肘置きがないタイプは危ない。
座面が低いと、なかなか立ち上がれないものだ。
回転するタイプは、うちのオヤジには危険かもしれない。歩きながらもたれた時に動いて転倒しかねない。 それに、リクライニングがあると昼寝しまくりそうだ。
ということで、
・座面が低すぎない。やわらかすぎない(立ち上がりやすい)
・肘置きがある(居眠りしても安全)
・動かない、回らない(とっさに手をついても大丈夫)
・汚れを吸い込まない生地(失禁対策)
という基準で買ってきたのが、これ
オフハウスで4千円。座面がちょっと低めの38センチなのが気になるけど。
座布団つけようかな。
かわいい看護師さんに浣腸をしてもらったオヤジはご飯を完食、お風呂にも入って、無事に元気を取り戻したようです。やれやれ。