クリスマスに奈良の大仏様に会う

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生活不活発病からくる鬱だか認知症だかのオヤジ。孫たちが来てくれたことで驚異の回復を見せていたが、認定調査の日を境にふたたび下降しはじめた。
理由はわからない。
毎日下着を汚すし、ヒゲも剃らなくなるし、一日中ぼんやりとテレビを見つめて子供たちに話しかけられても生返事をかえすだけ。着替えも一人では難しい。

歩くのもヨタヨタし始めたので、私は昨日、大慌てでクリスマスプレゼントを変更した。

ノルディック・ウォーキング用のポールだ。普通の杖は「年寄臭い」と嫌がるが、これなら使ってくれるから。安定感には欠けるけど、ないよりはマシ!

で、これを持たせてどこへ行ったかというと・・・・

・・・奈良である。車で片道2時間もかかった!

海外育ちの姪っ子たちに大仏を見せたかったから。みんなでお出かけをしたかったから。オヤジも「一緒に行きたい」って行ったから。オヤジは不調だが、不調だからこそ連れていった。おでかけは最高のリハビリだもん!

ただ、今のオヤジは本当に体力がない。杖をついたって200mも歩けないだろう。東大寺は広いから観光なんか無理だ。

それで車椅子に乗せた。いざという時の着替えも忘れずに持っていった。

奈良で車椅子の通行を妨げるのは、観光客の多さではなく、鹿です。

車椅子2台と子供をつれて東大寺。

車椅子用の順路を一家7人でぞろぞろと歩く。

随所にスロープがあって車椅子でも問題なし

甥っ子の龍ちゃんが、はしゃいで騒いで大変だった。朝からプレゼントをもらって大喜びしていたところに、生まれて初めて鹿(しかもフリーダムな鹿)を見たもんだから、もうテンション爆上がりである。

「しかさーーーん!ぼくは、りゅうでーーーーす!」

無駄に暴れる息子に、母親が一言、こういった。

「大仏さんが見てるよ?」

大仏様の大きさに、荘厳さに、幼稚園児は恐れ入った。というか、怖がった。「夜になると立ち上がって悪い子をこらしめに行くんだ」と誰かに吹き込まれて一気におとなしくなった。おねえちゃんの影にかくれてこそこそ歩いていた。

オヤジは楽しんでいるようだった。相変わらず表情はぼんやりとしているが、要所要所で車椅子を降りて歩き、南大門の仁王様をみあげたり、せんとくんと写真を撮ったりしていた。

大仏殿のあとはかき氷を食べて一休み。

「レインボーかき氷くださーい」

スロープがついていたので「ここなら車椅子で入れる!」と思ったのに、扉の前に階段があったよ・・・お店の人と私と妹と3人がかりで担ぎ上げたよ・・・3人でも重いよ・・・。

本当はこの後、ならまちを歩く予定だったのだけど、オヤジの体力が限界だったからあきらめた。もうお土産を買う力も残っていないようだった。仕方なく私と両親だけで先に帰ることにした。妹と姪っ子たちは夕方まで買い物やカフェを楽しんだようだ。

帰り道、ぐうぐう眠る両親を乗せて高速を走りながら、なんだか寂しくなってしまった。「車椅子、とうとう3台になっちゃったなあ」と思った。母とオヤジと妹U子。今までにも祖母がいたり祖父がいたり車椅子の絶えない家だったが、3台になるのは初めてだ。お出かけは最高のリハビリがモットーだけど、私一人で車椅子3台も押せないよ。物理的に無理だよ。それに・・・私ももっと遊びたかったあなあ。ならまちへ行きたかったなあ。妹は子供たちとガンガン遊びに行けていいなあと、初めて羨んだ。子供は歩けて体力があっていいなあ。子供は可愛くていいなあ。子供は成長していいなあ。

・・・ねえお母さん、また来ようね。こんどお父さんが競輪に行ってるときに2人でならまちを歩こうね。と母にいうと

「次は京都がいい」

と言われた。年寄りはかわいくない!!!

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