退院後に待っているもの

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うちのオヤジは今日めでたく退院することができた。
・・・が、素直にめでたいとは喜べない。

ほんの4,5日間の入院だというのに、元々頼りなかった足元はさらに頼りなくヨロめき、頭は限りなくぼーっとしている。トイレにぜんぜん間に合わないくせに「紙パンツは嫌だ」といってきかず、あんまり酷い状態なので風呂に入れたらシャワーの使い方さえ思い出せない。かといって私が入浴介助しようとすると
「あっちいけ!」
と断固拒否。私は脱衣所でやきもきしながら見守るしかなかった。おかげで仕事にまた遅刻した。

入院は、高齢者にとってリスクがある。廃用症候群と認知症の進行だ。病気を治してに入院しても、退院後に待っているものは要介護度のアップである。

手術したり点滴したり、入院してるとぜんぜん体を動かさないから筋肉が衰えて動けなくなってしまう。動かずにじーっとしていると頭も心もボーッとしてしまう。もともと状態が悪いときに入院するため症状の進行は坂道を転がりおちるよう。オヤジにしても、もし今日認定調査がきてくれたら簡単に要介護がもらえるなという有様だ。たった4,5日、されど4,5日。

まあ、しょうがない。
一時的なものもあるだろうし、廃用性はがんばって動いて治そう。

晩ごはんは何が食べたい?と尋ねると
「寿司!」
オヤジは張り切って答えた。
「回転寿司が食べたい!」
それはいいな。
おでかけは最高のリハビリだもんな。
行こう行こう。

エンドレス天ぷらうどんに入る前

デイサービスから帰ってきた母と3人で近所の回転寿司に行く。カウンターに横並びで座った。
そこは一席ずつタブレットが設置されていて、個人個人で注文するタイプの店だった。オヤジはタッチパネルの操作は覚えていたようで、ちゃんと自分で注文してもりもり食べていた。
「食欲があるのは安心するね」
と母が言う。
そうだねえ。
もりもり食べてるねえ。
本当によく食べて・・・よく・・・食べて・・・る。
「そんなに食べて大丈夫?」
「うん」
オヤジは黙ってうなずいた。
それまでよく見えなかったのだが、うどんの器が2つになった時点で
「これはおかしい」
と気がついた。
ちょいと失礼、とオヤジのタブレットを確認する。

まぐろ。
鉄火巻。
まぐろ。
鉄火巻。
かっぱ巻。
かっぱ巻。
天ぷらうどん。
天ぷらうどん。
天ぷらうど・・・・・・ストップ!
私はタブレットを取り上げた。

操作自体はできている。
ただ、オヤジは、今さっき注文したことを忘れてまた同じものを頼んでしまうのだ。
結果的にいくつも天ぷらうどんがきてしまう。
「もう腹一杯や!」
そりゃそうだろう。
食べきれなかった天ぷらうどんを片付けるハメになり、私もかなり胃袋が苦しくなってしまった。

「おとうさんが帰ってきたから安心」で寝ているサンジくん

食べないくせに高いものを頼みたがる母(今日も中トロとかフカヒレとか頼んでた)。
すぐ忘れて同じものを無限に頼みつづけるオヤジ。
この2人の後処理のために、果たして私の体重はどこまで増え続けるのだろうか・・・!

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