介護者が医者に叱られる理由

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オヤジの手術もうまくいき、やれやれと一息ついたとき、ふと思い出した。
「あっ、病院に行かなくちゃ」
オヤジの病院ではない。
母の通院でもない。
私自身の病院である。

生まれつきアトピー性皮膚炎があるのだが、ここ2,3週間ちょっと痒いなあと思っていたのだ。
それで久しぶりに皮膚科を訪れたら
「なんでこんなになるまで放っておいたんだ!」
叱られてしまった。
「放置しすぎやろー!」
先生いわく、ちょっとどころの騒ぎじゃないと。
建物に例えるなら根本から崩壊してる状態。
「もうこんなん建て直すの無理だから!」
・・・だいぶ怒られた。

在宅介護者が医者に叱られるのは「介護あるある」な話だ。親の通院で手いっぱい。自分の病院どころじゃない。介護介護で自分の健康をないがしろにしてしまって病気になる人はたくさんいる。私もそれは知っていたから、気をつけて喘息やメニエルの治療はしたが、アトピーで死ぬことはないだろうと思ってしまって、後回しにしていた。

なにしろアトピーは物心ついたときからなので慣れているのだ。痒くて眠れない日なんて生理と同じくらいザラ。もちろんお化粧はできないし顔なんか腫れ上がってお化けみたいだけど、私は自分の見た目にはまったく興味がないので正直どうでもよかった。周りの方が迷惑なんだろうけど。

オヤジの入院中、サンジは寂しがってあちこちに出没します

そして・・・去年、別の皮膚科で医者に怒鳴り散らされた経験がダメ押しになった。母と一緒に診てもらったのだけど、なにしろ怒鳴り散らした挙げ句だったから、先生は私のほうをチラりとも見ずに
「薬10本ずつだしとくから、それでええやろ!」
吐き捨てるように強めのステロイド剤(マイザーとか)を処方して終わりだった。以来、皮膚科そのものがちょっとしたトラウマになってしまって、別の病院でもあんまり行きたくなかったのだ。

山のようなステロイド剤をちびちび使いながら1年しのいできた結果、今回の皮膚科では
「あなたの年齢でここまで重症化してるとちょっと難しいよ。注射で治す方法も考えてみたほうがいい」
とすすめられることになった。
デュピクセントという免疫療法らしい。
「ただし、これは凄く高いんだ。1回2万5千円くらい」
注射1本2万5千円?
2週間に1本打つので、1ヵ月5万円。半年で・・・30万・・・高すぎて吐きそう!

無い袖は振れません。
即座に答えたら医者はこんなことを言った。
「でもこの注射がきいたら、普通の人みたいな肌になれるんだよ?」

考えたこともなかった。
想像したこともなかった。
普通のお肌になれるなんて!
顔が赤くないだなんて。
お化粧できて、オシャレもできるなんて・・・あ、そこはどうでもいいわ。

私は生まれてから一度だって、きれいな肌になったことも、湿疹がなくなったこともないし、体中どこも痒くないという経験がない。それが普通だから気にしたことさえない。痒かろうが眠れなかろうが顔が腫れようが、同級生に「気持ちわるい」と罵られようが、私の人生にはあんまり関係ないと思ってたから。

でも想像すると、やっぱりいいなあ。
ちょっとうらやましいなあ。
ぜんぜん痒くない生活ってどんなだろう? って生まれて初めて夢をみた。

でも、・・・無い袖は振れないわ・・・今の我が家はそれどころじゃないわ。
宝くじでも買うべきだろうか?

コメント

  1. お父様の手術、無事に終わって良かったですね。
    お疲れ様です(^^)

    介護者の病院あるある、よーくわかります(^^;)
    みなさん、やっぱりそうなんですね。。。

    私も一生付き合っていかなくちゃいけない病気と、
    あと4年、大学病院へ通う病気持ちです。

    でも両方とも待ち時間はあるけど、予約なので良いのですが、
    それ以外の不調がでた時、検診などは後回しになってしまっています。

    でも自分が入院するような病気になったら、
    父のことがどうしようもなくなってしまうから困るし、
    でも自分の病院、これ以上行く時間ない・・・。
    なかなかうまくいかないですよね(^^;)

    お身体大事にしてくださいね。
    お互いにですね(笑

    • ありがとうございます。
      介護者はどうしても自分のことは後回しになってしまいます。
      だから気をつけてたつもりなんですけどね・・・。
      通院があると大変ですね。
      私がもし遠い病院へ通院ということになったら、そのたびにショートを入れるか、親もいっしょに連れていかなくちゃなりません。
      そう考えると3倍めんどくさいですね。
      待ち時間も困りもの・・・。
      >でも自分の病院、これ以上行く時間ない・・・。
      お気持ちよくわかります!
      でも入院は、絶対に避けたいですね。
      お互い、大事にしましょう。

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