先月、私は酷いギックリ腰になった。歩いてトイレに行くのも難しい状態で母の介護をした。そのとき一番大変だったのが、ベッドから車椅子への移乗だった。それを知った訪問診療のドクターが
「ほな介護リフト入れてみたら!?」
と言ってくれたので、試してみた。移乗用の介護リフトを。
ベッドの上に広げてあるのがスリングシート。このシートに身体をくるみ、クレーンのように吊り下げて、ウィーンって移動します。
クレーンの操作はボタンがたった2つだけ。方向とか横移動は手動。シンプル!
少しだけ難しいのは、スリングシートで身体をちゃんと包むことと、ひもの長さを左右同じに合わせること。それくらいかな。事前の説明がとても丁寧だったので、私は2,3回でマスターした・・・と、思う。
リフトを使うメリット
・楽ちん!
なにしろ力がぜんぜん要らない。重い人でも関係なく乗せられるだろう。リフトはとても頑丈だし、すごいもんだなあと思う。
・簡単!
恐れていたほど難しくなかった。意外なくらい簡単だった。でもこれは、乗せる人の状態にもよると思う。母は簡単だったけど、妹は身体がつっぱる(のけぞる)ので使えるかどうか不明。
・楽しい!
最初は怖がるかな?と思ってたけど、母は
「遊園地みたーい」
とか言ってるのでむしろ楽しそう。私の負担にならない、ということも母には嬉しいのだろう。(母は自分のブログにリフトの感想を書いています。)
デメリット
さあ、ここからが本番です!
・でかい!
残念なことに、お借りしたリフトはうちのベッドと形が合わなかったんです。結果、脚がはみ出してしまいました。
この! はみだした脚が! 邪魔で邪魔で! 車椅子のタイヤが乗り上げるのはもちろん、私は何度もけつまずきました。でもこれは相性が悪かっただけで、脚がベッドの中に入るタイプ(?)なら大丈夫だそうです。
・めんどくさい!
これが一番の理由。スリングシートをつけて、紐の長さをそろえて、金具にとりつけて、ウィーンと持ち上げて、ウィーンとおろして・・・といくつも手順をこなす必要がある。どんなに手慣れてもある程度の手間と時間がかかるはず。「よっこいしょ」だと3秒なのにリフトだと1分はかかる感じ。たまに使うならともかく、日に何度も何度も何度も移乗する母には…短気な私にはちょっと耐えられない。
(私の腰痛の原因は介護ではない。なのでリフトを使ったからといって、直接、腰の負担の軽減や腰痛予防になる気はあまりしません…。あくまでも現在の私の場合です。たぶん多くの人にとっては腰痛予防になると思います!)
・いざ腰痛になってしまったら使えない気がする
不慣れなせいだろう、スリングシートをつけたり車椅子に乗せるときの動作がけっこう腰に響く気がした。ギックリ腰の状態でこの動作はできないかもと思った。
・高い!
介護保険点数が1800点だっけ? リフトによってはもっと高い。我が家の場合はすでにギリギリなので…。
・猫が怖がる
大きくて圧迫感があるため、うちのシシィさんは病気になりそうなほど怯えております。
ほぼアンケートの結果どおりといったところ。皆様の不安的中ですよ。我が家にはこのリフトは必要ないかなと思った。・・・今は、まだ。
どんな状態になったらリフトを導入を考えるか?
リフトとベッドの相性は置いておいて。
高価であることも一旦、置いておいて。
いつかは必要になると思う。
介護リフトが必要になる時、それはどんな時だろう?
考えてみた。
・介護者の身体にトラブルがあるとき
私は今のところ、介護に支障をきたすようなギックリ腰は年1回、先日のように重症化するのは数年に1回だ。だから「メリット < デメリット」に感じてしまう。
だが腰痛が慢性化すれば無理はできない。少しでも身体の負担をへらすためにリフトを使いたいと思う。介護者が病気がちだったり、高齢だったら、より必要だろうと思う。
・寝たきりになったとき
今「よっこいしょ」で移乗できるのは、母の身体がまだしっかりとしているからだ。端座位もできるし微妙だけど一瞬の立位もできる。補助動作をとれるのだ。そのため今のところたいした負担はない。
寝たきりになれば、無理だ。「よっこいしょ」の重みがすべて介護者にのしかかってくる。そうなると大変だ。我が家にもいつかそんな日がくる。
・父を介護するとき
オヤジはそれなりに大きい。体重はもちろん身長の高い人を介護するのはけっこう危ない。母のように簡単にはいかない。互いの身を守るために早めにリフト導入するかもしれない。
・シシィが怯えなくなったとき
…そんな日がくるのだろうか?
ということで。
せっかくのリフトでしたが、明日に引きとってもらうことになりました。業者さん、ごめんなさいね。
最後に大事なことを一つ。
今は「リフトなんて必要ない」と思っていても、いつ誰がどうなるかわからないもの。いざという時すぐ使えるものではない気がするので、もし機会があれば触って経験しておかれたほうが良いように思います。経験というのは最大の知識であり、最も頼りになる情報ですから。