捕まる猫・捕まらない猫

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ミー先輩は私が働くデイサービスの猫さんだ。いわゆる地域猫で外暮らし。
もちろん避妊はすませているが、この季節になるとどうしてもオス猫に追いかけられてしまう。
「あんた嫌い!どこか行ってよ!」
と、ギャアギャアとケンカをしている。
とくによく来るのは、でっぷり太って図々しい面構えのキジトラだ。ミー先輩を追いかけてデイの軒下まで入ってくる。
「もう、やめてよー!」
悲鳴をあげるミー先輩をみかねて私たち人間が割って入ることもしばしばだ。

それを見たうちのボスがとうとう行動に出た。
「あいつ、タマとっちゃおう」
オス猫を捕まえて去勢手術を受けさせようというのだ。
そこでデイの庭に捕獲器を設置した。一度入ったら出られないトラップ。

翌日、私が出勤すると
「うにゃー!」
庭から猫の声が聞こえてくる。
「ここから出してよ!」
と怒っている。
私は大急ぎでボスを呼びにいった。
・・・猫が捕獲器にかかってます!

ボスはバタバタと走って見に行った。
そして
「んもー!ミーちゃん!」
と笑った。
捕獲器にかかってたのは、狙いのオス猫ではなく、ミー先輩であった。

「あんたが引っかかってどうすんのよ。さっき食べたばっかりでしょう」
捕獲器にはエサが仕掛けられていて、エサを食べようと入ったところを捕まえる仕組みだ。ミー先輩は食い意地が張っているもんだから、食後にもかかわらずノコノコと捕獲器に入っていったらしい。

ちょっと恥ずかしいミー先輩。

「この子、さっきも捕まってたのよ。オス猫はぜんぜん捕まらないのに、ミーちゃんばっかり捕まるの。意味ないわー」
とボスは愚痴った。
「ミーちゃん、あんた馬鹿だねえ!」
利用者さんたちにも大笑いされていた。笑いものにされて、ミー先輩はしばらく不機嫌そうだった。

なんとか次はオス猫が捕まって、早く手術ができればいいなあと思います。

コメント

  1. 学ばないミー先輩( ´艸`)

    • 馬鹿な子ほど可愛いのですw