「金曜日のシェフ」ことうちのオヤジ。今週の料理はトンカツだった。私がなんにも教えなくたって、筋切りから二度揚げまでちゃんとやってくれるのだ! そのうえ特製ソースまで自作! 負けた!
(盛り付けがアレだとかキャベツが上に乗っかってるとか、細かいことは気にしない!)
ポテトサラダはスーパーのお惣菜だけど、キャベツはオヤジ自慢の千切りだ。我が家で一番きれいな千切りをつくるのがオヤジなんだ…。
「めっちゃ美味しいよー!」
母と絶賛しながら食べてたら、オヤジはぼそっとこう言った。
「ほんとはな、バターを入れようと思ったんやけどな」
・・・え? バター?
「うん、(つなぎの)卵の代わりに、今はバターを入れるのが流行りやねんて。でも冷蔵庫にバター無かったし、マーガリン溶かすの面倒やし、卵にしといた」
・・・揚げ物にバター? それ、おかしくない?
「ほんまやもん!」
・・・ウッソだあ。
「料理本に『バター』って書いてあったもん! ほら!」
案の定、バターじゃなくて『バッター液』だった。
よかった、うちにバター置いてなくて。
母が金曜にデイサービスに行き始めてから、オヤジはちょっと寂しそうにしていた。母と過ごす時間が短くなり、自分の仕事がなくなっちゃったからだ。でも、そのぶん料理に集中できるのは良かったらしい。器用だけれど気の回らないオヤジは、介護よりも料理に向いているのだろう。
人間、向き不向きがある。介護だって、必要に迫られれば誰でもできる! 愛情があれば、努力さえすれば、必ずできるようになる!…ってわけじゃないと、オヤジを見ていると思うようになった。自分が簡単にできるからといって、それを他人に求めるのは残酷だし、危険だということも。
オヤジはあんまり介護に向いてないのに、今まで無理させて悪かったなあと思う。料理を作ってくれることだって、大きな助けだ。それでも十分だと思う(今日は後片付けまでちゃんとやってくれたし)。
「よし、次は唐揚げだー!」
張り切っているオヤジのためにも、コンロはIHに換えたほうがいいかなと、考え始めた。
本日の猫写真。
だいぶやる気がないサンジ君。
コメント
シェフ殿の力作に、賛嘆措く能わざるを得ません。
特に、お手製ソースに。
不肖私の頭には、半世紀以上も浮かんだことがない作業です。
こんな短期間にどんどん腕前を上げられた殿は
どこまで進化なさるのか、ワクワクです。
しかし、バッター液、ぐふふ。
フォークで万遍なく開けた穴にバターを詰めたトンカツって
ちょっと試食してみたいような、遠慮したいような(笑)
ともあれ流行ではないようなので、そこまで時流に疎いか
ヤバイぞ私、とならずに済みました。
サンちゃん、好戦的妹にやっつけられて、まだお疲れ中なの?
いや、お手製ソースといっても、ウスターソースにマヨネーズと辛子とゴマを混ぜただけですけどね。
ちゃんと美味しかったですよ。
アメリカでは丸ごとバターのフライもあるそうですが、バター入りトンカツじゃなくて本当によかったです。
サンジは今日もシシィにぼこぼこにされていました…