私と母の2人バイオリンは、子供が中心のユース・オーケストラのコンサートに参加することを目標としている。
合同練習は日曜におこなわれ、私たちはいつも1~2時間ほど参加する。母は長時間車椅子にすわっていることが苦手だし、集中力もつづかない。
「しんどいから横になりたい」
「家に帰りたい」
と言いだすので1~2時間が限界なのだ。
ところが、今回のモーツァルトはむちゃくちゃ難しい! 和音だのピッチカートだの果てしなくつづく三連音符だの! なんとかみんなに追いつこうと頑張るんだけど、私たちは小学生よりも下手だから、もう必死になって音符を追いかけるしかない。
バイオリンを弾きながらも、母はボケを連発していた。空気が読めないのは高次脳の特徴だから。先生がまだ喋ってるのに勝手に弾き始めたり、みんなが弾いてるのにぼんやり考えごとをしていたり、常に一小節先を突っ走ってみたり。
それでも、母なりに必死だった。できるだけ正確に楽譜を読もう、ちょっとでも分るところは弾こう、わからないところはみんなの音を聴こう、と頑張っていた。
ピアノ・フォルテ!
そこはサード・ポジション!
半音ずれてるよ!
もっと飛ばして! もっと! もっと!
驚いたことに、母の集中力が途切れることはなかった。頑張ってがんばって、気がついたら4時間が経過していた。1時半から5時半まで。練習の最初から最後まで、ずっとバイオリンを握りしめていた(休憩はあった)。
バイオリンにのめりこむあまり、母は疲れにも、お尻が痛いことにも、気づかなかったようだ(ついでパンツがずっしりと重くなっていることも気づいていなかった)。
ようやく練習が終わったときには、体力の限界に達していたのか少し青ざめた顔をしていた。
それなのに
「ああ、楽しかった!」
母は笑いながらため息をついた。
「もっと弾きたい! もっと上手にならなくちゃ!」
私の顔も青かったかもしれない。難しすぎてぜんぜん弾けなかったからだ。
「夏までに弾けるようになるかなあ」
首をかしげていると、追い打ちをかけるように先生が
「バッハもあるのよ!これも弾くでしょ?」
と新しい楽譜をくれた。
今年は小学生といっしょに全曲弾きたい、と思っているのだけど・・・どうしようっかな・・・
本日の猫写真。
サンジはNHKの動物番組『ダーウィンが来た!』が大好きです。毎週欠かさずテレビに張り付いてみています。
「猿がいる! すごいね!」
近いよ、サンジ君。
目がわるくなるよ。
・・・ますます近くなったね。私テレビ見えないよ。
「たぬき! たぬきと目が合ったの!」
・・・うん、たぬきからは君が見えてないけどね。
「たぬきがこのへんにいるはずなの! かくれてるの!」
・・・探しても会えないと思うよ。
「猫は動体視力がいいため、テレビも静止画に見えてしまい、つまらない」
と聞いたことがあります。シシィも含めて歴代の猫はみんなテレビに興味を示しませんでした。サンジだけです。サンジだけ・・・動体視力が悪いってことなんでしょうか。