公園の猫

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秋の長雨も今日は一休み。お出かけするなら今日しかない。
「どこか行く?」
「んー…」
母はいまひとつ気がのらない様子。
「公園でもいこうか」

というわけで、お弁当もって近所の公園へ。
そこにいたのは…。

ワイルド・ニャンコだった。野良猫だ。

いつからここに住んでるんだろう。うちのサンジより若い雄だ。私たちがお弁当を広げたのを見つけて、そそくさと足元に寄ってきた。
「ごはんちょうだい」
とせがんでくる。

困ったなと思った。野良猫に安易にゴハンをあげてはいけない。それが人間社会のルールだ。悲しいことだけれど。うちの町内は地域猫が許可されるような風土ではぜんぜんない。

野良猫も安易に人間に近寄ってはいけない。世の中には恐ろしい人間がたくさんいて、猫を傷つけるをこと楽しむ人だっているのだから。庭から出ないうちの猫たちでさえ「毒をくわせるぞ」と脅されたこともあるのだから。

そういうことを、私は猫に向かってこんこんと語って聞かせた。が、猫はやっぱり猫なので、説教なんか聞いてくれない。
「どうでもいいから食い物をくれ」
とせがむばかり。

私が何もくれないものだから、猫は、母がぽろぽろとこぼす卵やなんかを必死に拾って食べていた。母は今日も絶好調で食べこぼしていたので、私はタマネギとか猫に悪いものが落ちないようにするのに気を遣った。

サンジももとは野良だった。シシィだって捨て猫だ。この子もうちの子とおんなじなんだ。そう思うとせつなかった。庭でよければ飼ってあげられるんだけどなあ。

コップの水で顔を洗うシシィ。そこらじゅうがびしょぬれになります。