在宅介護がなぜ楽しいのか?

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在宅介護は人生の墓場みたいに言われてるけど、そうでもない。私は今、楽しい。めっちゃ楽しい!
・・・そう書いたら、疑問文で返ってきた。
「ほんとうに?」

えーっと。
どうなんだろう。
改めて突っ込まれると考えてしまうじゃないか!

今現在、毎日が楽しいのは本当だ(呪われてること以外)。それなりに不安は抱えているものの、これまでの人生の中でもっとも心穏やかだと言えるかもしれない。上司を呪い殺したくなったり、単純作業にイライラしたり、毎日がどうしようもなく退屈だったり、どこかへ逃げ出したくなったり、そういうことがぜんぜん無いからなんだけど。

だけどこの幸せを説明するのは難しい。
信じてもらうことはもっと難しい。
「どこが?」
「なんで?」
「どうして?」
と、具体的に答えを求められると即答できない。

即答できないからゆっくり考えてみた。
答えがでるまでに数日かかった。

Q: 介護が楽しいって本当に? その理由は?
A: 好きでやってることだから。

非常にシンプルなことだった。

私は嫌々介護をしているわけではない。他にどうしようもないから引き受けたのじゃない。在宅介護すると決めたのは私自身。やりたくてやっていることなのだ。だから楽しいのだと思う。他人からはどう見えるかわからないけれども、私は自分で選んだ人生を歩いている。

たしかに在宅介護を始めたときに私はいくつか大切なものを失った。仕事、旅、友達と過ごす時間。未練がないとは言いにくい。旅が恋しくなるときもある。

けれど手に入れたものもある。
新しい職場。
新しい経験。
新しい出会い。
新しい価値観。
そして、新しい幸せ。

私は介護をするようになって初めて、近所に温泉があることを知った。蛍の飛ぶ沢があることを知った。ヒマワリやネモフィラの花畑があることを知った。2人バイオリンを弾く喜びも知った。たしかに海外旅行は楽しいが、幸せは、もっと近くにあったのだ。

人生は万華鏡のよう。これまでは赤や黄色の明るい模様を眺めて
「これが一番きれいだ!」
と思っていたのに、万華鏡をくるりとまわすと青や紺や紫があらわれて、それまでとは違った趣の、もっと深い色合いの、そしてもっと美しい模様があらわれた。
「これが幸せ、これが好き、これが一番楽しい」
と思い込んでいたことが覆され
「こんなこともできるんだ」
「こんなふうに楽しめるんだ」
と日々、発見している。


(ちょっとしんどそうなサンジ。明日また点滴いくで!)

私が在宅介護生活を楽しんでいられるのは、家族のことが好きで一緒にいたいから、そしてそれを自分で選んできたから。そして、
「なんでも『楽しい楽しい』って言ってたら、しまいに本当に楽しくなるから!」
と母が教えてくれたから。
「人生、楽しんだもの勝ち!」
私もそう思っているからだ。

コメント

  1. くるりと回せば別世界。
    万華鏡のたとえ、とてもしっくり来ました。
    (実は、今でも1本持っています)
    みずからの意思で決めたこと、これはすべての土台として重要で
    しょうね。
    自分で決めたと言いながら、あとで不平を鳴らす人もいますが、
    それは腹の括り方が十分でなかった場合だと思います。
    まことに僭越ながら、私はもうひとつの要素を考えました。
    だださんのご家庭はもともと前向きで明るい繋がりに満ちており、
    世間で見聞きするような確執じみたものがないことも大きい
    のではないかと。

    サンちゃん、点滴で気分がよくなるといいね。
    口内炎は、もう大丈夫なの?

    • どんなに選択肢が少なかろうと、すべて自分の人生は自分で決めたこと。
      もちろん楽しいのは今だけでしょう(オヤジも要介護になったら大変だし、最後はもっと大変になりますから)。
      けれど、楽しいと思える束の間の「今」をなるべく大事にしたいと思っています。

      >だださんのご家庭はもともと前向きで明るい繋がりに満ちており、
      >世間で見聞きするような確執じみたものがないことも大きい
      えっとね、親戚には確執ありますよ、約一名(笑)。
      でも家族間はうまくいってます。
      オヤジとは喧嘩もしましたが、仲直りできました。
      妹は介護というものを身にしみて知っているから絶対に下手な口出しはしませんね。ありがたいです。

      サンジは今日の点滴では暴れませんでしたよ!
      口内炎も治って、あともうちょっとお水を飲めたら通院も終われそうです。

  2. だださん めっちゃ考えました。
    失礼かもしれないけど今日のテーマはめっちゃ考えさせられました。
    一日中考えました。

    なぜ在宅介護が楽しいのか?
    私も、時折のイライラを除いてはけっこう楽しくやってます。
    でも、「何故か?」は考えたことがなかった!
    ただ単に自分がドMなだけじゃないかと思うことはありましたが…
    ある意味自分のルーティーンに囲んでしまえば、手抜きできるところはできるし、問題やハプニングが発生した場合においてはある意味ゲーム感覚(?)的に攻略法を考えるし。

    昨年末に祖母を在宅看取りした時は、ダブル介護でヒーヒ-なったけど、本当に色んな物が見えたし。
    自分が出来ることをして、出来ないことは沢山の人に支えられて、知らない間に1個1個乗り越えてて。

    しょうもない失敗しながら武器を着々と身に付けていけてる自分が好きだし、何よりも家族が好きだからでしょうか?
    そして仕事としてヘルパーするのはそんな人たちをちょっと楽にさせてあげたいからでしょうか。
    でも まだ「超」が付くほどは楽しくない自分です。

    • tomoさんは私よりずっと大変な介護だと思うのですが、やっぱり楽しいと仰れる方なんですね。
      それを聞いて嬉しいです。
      >問題やハプニングが発生した場合においてはある意味ゲーム感覚(?)的に攻略法を考えるし。
      これすごくわかります!
      ウィーンに行くときは特にそういう感じでした。
      「攻略」って表現いいですね!
      >しょうもない失敗しながら武器を着々と身に付けていけてる自分が好きだし
      かっこいー!
      私は未だほぼ丸腰ですので(笑)ヘルパーとしても修行を積んでいろんな武器を揃えていきたいです。

      でも正直ね、「楽しい」って書くと反発を覚える方も多いと思うんです。
      自分がすごく苦しんでるときに「介護してても楽しいよ」っていわれたらムッとしますから。
      でも介護にはいろいろな面がありますし。
      「つらい」と口に出すことで楽になる人はいいですが、私は逆に「楽しい」と言えば本当に楽しくなるタイプなのです。
      >何よりも家族が好きだからでしょうか?
      ロコさんもおっしゃっていましたが、やっぱり家族との関係性は大きいのかもしれませんね。

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