サンジ、怒る!

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トラ猫サンジはいつもご機嫌。のんきというか、のんびりしているというか、毎日のどをゴロゴロ鳴らし、しっぽはピンと立てたまま。お客さんが大好きで、小さな子供も大好きで、しっぽを引っ張られても
「あれ?」
しか言わない。シシィにごはんを横取りされても頭を踏まれても悲しい顔をするだけだ。薬をのませてもほとんど逆らわない。

今日は動物病院へ検査を受けにいった。さすがのサンジも病院は好きじゃないけど、だからといってブルブル怯えたり毛を逆立てたりしない。それどころかお医者さんに
「痛いのしないでね」
スリスリゴロゴロと甘えにいくくらいだ。

そんなだから、ちょっと勘違いされた。
「この子、怒ることあるんですか?」
注射しようと、看護師さんがサンジの足を押さえながら訊いた。たまには怒りますよ、と私が答えかけたそのとき、まさにその『たまに』がやってきた。2本目の注射を打った瞬間、それまでごろごろいっていたサンジが豹変、

「うみゃあおおおおお!(なにすんねん!)」

・・・低~い声で怒鳴ったのだ。
普段はおとなしいサンジが今日ばかりは怒りの声をあげた。ほんの一回きりだったけど、あんなドスのきいた声、私も久しぶりに聞いたからびっくりした。

先生も看護師さんも初めてみるサンジの怒りの表情にびっくりしていた。
「怒りましたね・・・」
ってそりゃ、サンジでも怒ることあるよ。それだけ痛かったんだよ!

今日はなかなか血が採れなかったので、サンジは可哀想に何度も痛い思いをして、そのうえ珍しく怒ったもんだからくたびれきって帰ってきた。

帰宅すると、『おかえり』を言いにとんできたシシィが、サンジの不機嫌そうな顔に気が付いた。
「何かあったの? だいじょうぶ?」
シシィがそうっとサンジのそばに寄っていき、横顔をぺろぺろなめていた。


(傷心のサンジ)

大丈夫だよ、シシィ。検査の結果はまだ出てないけど、体重は順調に増えているし、きっと腎臓はよくなってはずだよ。