終わらない夏(2)クロちゃんを抱いて

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療養型病院(1回目)

在宅医の紹介をもって救急にいったのに
「これくらいじゃ入院させられない」
と帰宅させられた母。
翌朝になっても状態は芳しくなかった。
まったく飲み食いできないし、息も苦しそうだ。
血中酸素飽和濃度は90を切っている。
・・・本当はもう一度、市民病院で診てもらいたい。
でも、また断られるかもしれない。
そこでA病院に連絡をとり、入院させてもらうことにした。

A病院は、療養型病院である。
母がお世話になっているデイサービスと同系列で、これまでにも何かとお世話になってきた。
今回もデイサービスさんとケアマネさんが母の状態を心配して、
「A病院なら確実に入れてもらえるから」
と手配してくださったのだ。

A病院は相変わらずスタッフが親切で、事務の人も丁寧だ。
いい病院だと思う。
ただ
「コロナがまた流行っているので、面会は一切できません」
という点を除いては。

転院

療養型病院だから、難しい治療はできない。
それでも入院さえすれば、安全は確保される。
面会禁止はちょっと心配だけど・・・。
犬のぬいぐるみをギュッと抱きしめて病室へ向かう母の後ろ姿を不安な気持ちで見送った。

療養型病院でも、入院さえすれば、安全は確保される。
そう思った私が甘かった。
A病院から連絡があったのは翌朝のことだった。

「呼吸の状態が悪く、ウチでは危ないので、やはり市民病院に連れていってください。
入院の確約をもらいました」

療養型病院は積極的に治療をする病院ではない。
設備もドクターも少ないが、土日はますます手薄になる。
急変の恐れがあるので、対応できる病院で診てもらったほうがいい。

さっそく入院したばかりの母を迎えに行く。
相変わらず犬のぬいぐるみを抱きしめて、ちょっと話すとぜいぜいと喘ぐ。
昨日とそんなに変わりない状態だ。
それでも「一切面会はできない」と言われていたせいだろうか。
母に会えて、ちょっと、嬉しかったんだ。

市民病院(2回目)

ぬいぐるみを抱きしめた母を車に乗せ、またしても市民病院の救急へ。
先月はオヤジもつれてきたし、最近よくここに来るなあと思う。
今回は入院が確約されていたから、おじいちゃん先生にいろいろ言われずにすんだけれど。
「最初からすんなり入院させてくれていたら、右往左往せずにすんだのに」
と思う。
この日もオヤジの主治医が通りかかって
「ああ、たかはたさん!」
と声をかけてくれた。
やっぱり戻ってきましたか、大変ですね、と顔に書いてあったが、口にはださず、
「かわいいワンちゃんですね」
と母のぬいぐるみをほめてくれた。

母にとって犬のぬいぐるみ「くろちゃん」は入院中の心のよりどころ。
猫たちの代わりであり、家を思い出すときのよすがであり、心細いときの話し相手なんだと思う。
もちろん座位保持もしてくれるし、寝返りのときも役に立つ。
母は今夜も「くろちゃん」を抱っこして眠っているだろう。

コメント

  1. だださん
    こんにちは、とても大変でしたお疲れ様です
    お母さんスムーズに入院できたら良かったのに具合悪いのに辛かったですね、胸が痛いです

    いまはご両親を心配で堪らないでしょうが
    休める時は滅多にない私達介護者ですから
    少しでも体を横にしてご心配でしょうが
    リラックスをしてください
    だださんも疲れを取ってください
    早く良くなります様に

    • 入院したらもっと楽になるものかと思ってたらそうでもないですねw
      毎日仕事中に病院から連絡がくるしトラブルが多すぎて気が気じゃないです。
      そろそろゆっくりしたいですねえ…。

  2. お母様、無事入院出来て良かったです、お父様と同じ病院で良かったですね。悪いことを考え出したらキリがないけど、少しでも良かったと思えることがあれば、なんとか光が差しますしね。
    お二人が居ない間、とにかくぐっすり寝てください。

  3. いろいろありましたが、ようやく目指すところが見えてきた感じですね。
    まだ方向性が見えたにすぎませんが…。
    たとえ一時だけでも両親が同じ病院にいてくれて助かりました。
    今夜こそぐっすり眠りたいものです。

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