終わらない夏(1)入院を断られる

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母が入院しました。
経過とご報告です。
長くなるんで分けます。

風邪

前回、私が風邪をひいて熱を出した話を書いた。
39度くらいの熱が1週間ほど続き、ようやく引いてきたと思ったら・・・母に風邪がうつった。

まあ、そりゃ、うつるよね。
移乗も排泄も食事介助も、密着しっぱなしだもん。
私も喘息でるからマスクはずしてたし。

母は熱は上がらなかった。
咳と少しの下痢だけだった。
コロナ検査は陰性だ。
ショートステイには断られたが、私の仕事の間だけでもとデイサービスに行ってもらったが・・・

デイに行って1時間ほどで連絡がきた。
「咳がひどいので診察してもらったほうがいいと思います。水分もとれない状態です」
と看護師さん。
仕事をあきらめてデイへ迎えに行くと、胸がゴロゴロぜいぜい鳴っている。
まるで喘息だ。
動いたせいでひどくなったのか。

取り急ぎ、訪問医にきてもらう。
「これは肺炎かな。入院治療したほうがいい。病院には連絡しておくから救急で診てもらいなさい」

市民病院 (1回目)

救急へ連れていくと、すぐに点滴をしてもらえた。
血液検査やCTを撮ってもらえた。
けれども。

その日の救急担当はかなり年配のおじいちゃん先生。
検査結果を見て
「数値は大したことない。これくらいでは入院できない」
と言った。
・・・え、でも、咳がひどくて食事も水分もとれないんです。
「そういうのはゼリーにするとか工夫すればいいでしょ」
ゼリーも食べれなくなったから来たんです。

「お家でみられないなら、老人ホームに入所させなさいよ。
ケアマネジャーさんに相談して。施設なら工夫して食べさせてくれるよ」

私は白目をむいていたと思う。
まじで?
まじで言ってる?
咳がひどくて水分がとれないんですが!?

「じゃあ療養型の病院に行けばいいでしょう」

もう一度白目をむいたそのとき、
「あれ、たかはたさん!」
後ろから声をかけられた。
オヤジの主治医だった。
オヤジの水頭症を見つけてくれた若い先生。
たまたま通りかかったようだ。

「いや、この方、肺炎疑いでこられたんですけどね」
おじいちゃん先生がPCのモニターを見せる。
若い先生は、検査結果をざっと見て、それから母を眺め、
「数値は低いけど、これはそう簡単に治らなさそうですね、入院されるんですか」
そう!
そうなんです!入院希望なんです!

するとおじいちゃん先生は明らかにむっとした。
「数値が低いでしょう。これくらいじゃ入院させられない。ベッドも限られてるし」
おじいちゃん先生のほうが格上で、若い先生は科も違う。
若造が外から口を出すなと言わんばかりだ。
若い先生はくいさがるように
「せめて血ガスをとってみたら」
と言ってくれた。ありがとう、若先生。

しかし検査がいっこ増えただけで、結果は覆らず。
咳止めと抗生剤だけ出してもらって家に帰らされた。

おいなりさん

母は、帰宅して横になるとすぐに眠った。
点滴と薬が効いてきたのか、さっきまでひゅーひゅー鳴っていた呼吸も落ち着いてきた。

その日は月末で、どうしても外せない仕事があったため、私は職場に走った。
するとデイサービスの調理師さんが私の顔をみるなり
「あんた、ごはん食べてないでしょ!」
と叱った。
そういえば、そんな暇なかった。余裕なかった。自分のごはんなんて完全に忘れていた。
なんならトイレも忘れていた。
「ちょっと待っとき!」
調理師さんは冷蔵庫へとってかえし、
「これ食べながら仕事しい!」
稲荷寿司を出してきた。
一口サイズのおいなりさん。
おいしかった。

タッパーに詰めてもらって母にも食べさせみた。
ここのところゼリーしか口に入らなったから無理だろうと思っていたのに、母はなんと
「おいしい!」
と言った。
心のこもったご飯にはきっと魔法がかかっているに違いない。
一口サイズのおいなりさんを1個半食べた。
残りは私がぜんぶ平らげた。
2人で泣きながら食べた。

コメント

  1. 自分の介護では殆ど泣かないけれど、人様のはダメです
    連載初回なのにもう泣けてます
    どこかで線引きしないといけないのはわかるけど、正論と規則は弱者を追い詰め、切り捨てますね

    • すっかり返信が遅くなってごめんなさい。
      仕方ないのはわかるんですけどさー、もうちょっとこう・・・ねえ・・・
      ベッドはわりと空いてたので人員不足の問題かとも思います。

  2. だださんが回復されて良かったです。
    去年8月救急車5回も呼んで、車内待機時間2時間、それでも受け入れてくれた病院には感謝したけど、母はしゃべれる状態だったので、入院も微妙。診察してくれた若い医師は母と私をじろっと見て「でも、入院したいんでしょう?」って。今でも忘れることはできません、その見下した言い方。コノヤローと思いながらも「出来たらお願いしたいのですが、、」と丁重にお願いしました。だけど、逆流性食道炎を誤診し、「胃が風邪を引いたようですね」と。治るはずも無く、入退院を繰り返し、5回目の救急搬送でやっと「逆流性食道炎」とわかり薬も合ったようで、その後回復しました。医者って何ですか?馬鹿なんですか?って叫びたいですよね。
    本当にこの世は良い人間に出会えるかどうかで運が決まるような気がします。だださんの職場の方々が良い人で良かったです。介護って本当に辛くてどうしようもなくなるけど、必ず誰かが助けてくれる、そう思って私も頑張っています。お母様が早くお元気なられますように、、

    • えええひと月5回も救急車!私2回でもぐったりですのに。それはそれはお疲れ様でした。見下した言い方、ほんと腹立ちますよね!お医者さんはそりゃあエラいのかもしれないけど、人間どうし互いを大事にしなければいけませんよね。そのくせ誤診って。
      >本当にこの世は良い人間に出会えるかどうかで運が決まるような気がします。
      そのとおりですね。出会いは宝物です。大事にしていきたいですね。

  3. だださん
    ご家族様が応援に来てくださるのですね。
    ほんのちょっぴりホッとして、
    そしたら、私も涙が止まりません。
    どうか、ご自愛くださいね。

    • まあ入院中なのでたいして手伝ってもらうこともなかったんですがw
      今日やっと2人とも転院が終わってほっとしましたー
      次は退院を目指します!

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