メンデルスゾーン バイオリン協奏曲

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久しぶりに母とバイオリンを弾いた。

今日はコンサートがあったのだ。「ウッディ・ムジカ」のコンサート。プロの音楽家が集まったグループだからとても上手い。かつては母もここで仲間たちと一緒にバイオリンを弾いていたものだ。
・・・今でも弾いている。2人バイオリンをちょっとだけ。

コンサートの最後は、アンコールのような感じで
「客席の皆さんもご一緒に歌いましょう!」
とにぎやかに締めくくる。その一曲だけは母もバイオリンをもって参加させてもらうのだ。

出番は最後の最後だから、母と私は客席でコンサートを聴いていた。
今回のコンサートはいつもとちょっと違った。
バイオリンがいたのだ。

「ウッディ・ムジカ」のメンバーにはピアノや声楽、管楽器を専門とする人が多く、母が唯一の弦楽器担当、唯一のバイオリン奏者だった。病に倒れてバイオリンを弾けなくなったとき、母は見舞いにきてくれた仲間の人たちに
「弦楽器がいなくなってごめんね」
と謝っていたものだ。

ところが今年は! バイオリンを弾く人がいた。まだ若くて可愛らしい人だったがすばらしい演奏を聴かせてくれた。曲はメンデルスゾーンのコンチェルト。ドラマチックで耳に馴染みのある曲だ。

演奏が終わったとき母はうっとりとつぶやいた。
「上手だったねえ!」
そしてこうつけ足した。
「私も昔ここのコンサートで弾いたのよ。今はもう弾けなくなっちゃったけど」
・・・うん。覚えてるよ。母のメンコンはすごく勇ましかった。紅かった。覚えてるよ。ちゃんと覚えてる。

そのあと私たちの2人バイオリンも参加した全員で最後の曲を演奏した。お客さんと『世界は2人のために』を歌う合間に「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「花のワルツ」と母の好きな曲が間奏曲として挟まっている。

私は音をはずしてしまったけれど、母はおかまいなしで勇ましく弓を弾いていた。楽しそうに弾いていた。メンコンはさすがに無理だけど、もっと練習して、いろんな曲を母に弾いてもらえるといいなと思う。

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