いい天気だ。
絶好の秋晴れ。
こんな陽気はきっと今だけ。
そう思って、両親を散歩に連れていった。
いつもは渋るオヤジも珍しくついてきた。
「いつもの公園へ行こう」
途中でお昼を買って、公園で食べよう。
歩きだした散歩道。
黄金色の並木道。
家から公園まで、私一人なら徒歩7分ほどだろうか。
両親にとっても通いなれた道のはず。
ただ、オヤジはずっとサボっていたから・・・・久しぶりだった。
多点杖をつきながら、えっちらおっちら歩いてきたが、途中のパン屋でサンドイッチを買い、
「ちょっと休む」
とベンチに腰を下ろしたきり、ぜんぜん歩けなくなってしまった。
公園までまだ半分も来ていないのに、体力の限界を迎えたらしい。
疲れ切って放心している。
まあ、そりゃ、そうなるわな。
デイのない日は一日中、テレビの前に座ってるんだもん。
体力も脚力も落ちるにまかせている。
・・・私がもうちょっと厳しくリハビリさせれば違ったのかな。
いや、どうせ私のいうことなんか聞かないか。
私は
「ここで待ってて」
とオヤジをベンチに残し、母の車いすを押して家に帰った。
そして
「面倒くせえええええ!」
罵りながら車で取って返し、ベンチでぼやーっとしているオヤジを拾った。
もうちょっと、太陽にあててやりたかったんだけどな。
春にはなんとか公園まで歩けてたのに。
たった半年でここまで衰えるとは。
さすがに車椅子2台は押せないし、散歩もなかなか、大変になってきたようです。
家に帰ると猫たちが、ひとの気も知らないで
「おかえり!遊ぼう!」
と大喜びで迎えてくれました。