オヤジは去年からデイサービスに通っている。リハビリ特化型の半日デイだ。2,3時間だけの短いデイ。だが行きたくないという。あんまり楽しくないし、帰宅後ひとりでご飯食べるのがしんどいんだって。
それで、昼ごはんもお風呂もついてる丸一日のデイサービスに行くことになったが、こんどは
「タバコが吸えないのはイヤだ!」
といいだした。
アホか!デイサービスで喫煙なんて聞いたことないわ!
・・・と思ったら、ケアマネさんは
「あ、いけますよー」
軽い調子で受けあった。屋外の喫煙所で職員さんの見張りつき、という条件つきならOKなんだって。
「そんなら行く!」
まじかよ。タバコ持ってデイに行くのかよ。ドクターストップはどうなってんだよ。
それからというものオヤジは一転して、デイに行く日を心待ちにしている。
一日に何度も
「あそこ、いつから行くんやったかな?」
ときいてくるくらいだ。
「2月3日からだよ」
と何度教えても覚えないのでホワイトボードに
『デイサービスは2月3日(水)から』
と書いて置いておいた。
それでもしつこく
「デイは今日だった?」
「今日?」
「今日?」
毎日きいてくる。
うるさいわ!
そして今日も。
私が昼休みに帰宅したら、ダウンジャケットをしっかり着込んだオヤジが、
「デイのお迎え、来なかった・・・」
ぽつねんと座っていた。
玄関にはタバコとライターの入った鞄と、杖と靴がちゃんと用意してあった。
今日こそデイに行けると思っていたのだろう。
明日からやで?アホやなー。そこに書いてあるやろ。
「だってテレビで、今日は節分って、いうてたから」
・・・ああ、そうか。
2月3日=節分=デイに行ける!
という図式だったらしい。
残念ながら今年の節分は1日早い2月2日なのだ。
デイは明日ね。
「そっか。明日か」
悲しそうな顔でオヤジは恵方巻をバリバリと貪り食った。
その話を看護師さんにすると
「お楽しみが一日延びましたね」
となぐさめてくれていた。
明日はいよいよ本番です。
ちゃんと行けるかなあ。