それぞれの幸せ

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妹と母とは性格が似ているから介護するのも楽だった。
2人ともポジティブでお出かけ好き。
向上心にあふれているから
「リハビリ大好き!」
といくらでも頑張る。

だがオヤジは正反対。
寝っ転がってテレビを見てれば幸せで、一発当てたいけど
「努力なんかしたくない」
と昔から明言している。
だからリハビリなんて絶対にやらない。

オヤジはまだ72才。この先まだまだ長いから、健康維持につとめ、筋力や認知機能が衰えないようにしなくちゃいけない。
私はこれでもいろいろ手を打ってきたつもりだ。
散歩に連れていったり、釣りに誘ってみたり。
家の中の用事を頼んでみたり、タブレットで将棋をすすめたり。

けれどもオヤジはそれを全否定する。
釣りも散歩も断られ、用事はスルーされ、タブレトは放置されて埃をかぶっている。
だってオヤジはそんなこと望んでいないからだ。
望むのはただ、家でぼんやりとテレビを見て過ごすこと。
「テレビを見てれば幸せ」
と本気でいう。
このままだと歩けなくなるよ、何もできなくなるよ、と何度言っても、
「べつにいい」
何度でも同じ答えがかえってくる。
死ぬまでそれでもいいの、なにかもっと楽しいことが見つかるかもしれないよ。
「いらない」
この2年間、ずっとこの調子。

思えば昔からそうだった。
酒とタバコと博打以外は興味がない。
今はもうお金を使い果たしてしまったから、テレビが最後の砦なのかもしれない。

オヤジが本気でそれを望むのなら。
それでいいのかもしれない。
価値観は人それぞれ。
オヤジの幸せは、たとえ寝たきりになってもテレビを見ることにあるのだろう。
興味のないことを無理強いしても仕方がない。
私ができるのはせいぜい目が悪くならないよう、そして褥瘡ができないように祈ることくらいだ。

2ショット

なんかもう面倒くさいから、オヤジのこと考えるのやめとこ。
介護放棄しとこ。

コメント

  1. それで良いと思います。
    価値観は人それぞれ。まさに、その通りだと実感してます。
    健康の為に、大好きな食べ物やお酒タバコを我慢して、長生き出来るように努めるのが正解なのか?そんなこと無いですよね?!
    もちろん大抵の方々は、そう努めるのだろうけど・・・それが絶対ではない。お父さんの気持ち、なんか分かります。
    我が息子と娘も、全く私の思ったようには成長せず(笑)そんなことでいいの?!って思うけど、それぞれが好きなように生きてるらしいので何とも出来ません。家族のこと、心配し過ぎるのやめました~(笑)

    • ほんま人はいろいろいですよね。
      「これが幸せ」って他人には決められないもので。
      あ、お酒やタバコは迷惑なので制限させてもらいますが(笑)

      引きこもりが幸せな人もいれば、施設入所で幸せになる人もいます。
      入院が幸せすぎて退院したくないっていう方も何人も見ました。
      在宅介護とか家族介護ばかりがもてはやされるのも偏ってますよね。
      結婚が女の幸せとかいうのももう古いですし!(力説)